「地域と一体で旅の舞台を作る」豪華観光列車THE ROYAL EXPRESSの仕掛人

  • 2022年1月20日

乗客が主役を演じられる優雅な舞台を
地域の発展と共に鉄道も発展する

-夏季に実施している「北海道クルーズトレイン」についてお聞かせください。
大自然のなかを走る「北海道クルーズトレイン」

松田 夏のトップシーズンは海水浴客が多いため、伊豆で特急列車を走らせることができず、その期間列車をどう活用しようかを考えていました。そのタイミングで、胆振東部地震の影響で観光需要が落ち込んでいたJR北海道から相談を受け、地域振興に繋げたいという思いもあり、北海道でのクルーズトレインのプロジェクトが始まりました。

 道東の鉄道には、電化されておらず、パンタグラフを付けて走れない区間があります。ここでTHE ROYAL EXPRESSが運行するためには機関車で牽引しなければなりません。また、それだけでは車両に電気が届かないので、電気を車両に送るための列車も必要です。そこでJR北海道のディーゼル機関車と廃車予定だったJR東日本の電源車を購入して連結し、北海道での運行を実現しました。

 初年度の2020年夏は5本催行する予定でしたが、コロナ対策の影響で3本に減便しました。2021年はオリンピック後から9月末までの期間に7本催行。2020年に参加されたお客様の3分の1がリピーターとして参加してくださいました。運行やサービスのノウハウもでき、風物詩のようになってきたと感じています。列車が駅に到着すると、地域の方が手を振って見送りをしてくださるようになりました。その恩返しとして、2分以上停車時間のある駅ではホームに降りてバイオリンの演奏を行い、お礼の気持ちを表しています。こうした交流を通じて、地域と一緒に旅の舞台を作り上げていきたいと考えています。

 水戸岡氏もTHE ROYAL EXPRESSが北海道を走ることを喜んでくれました。豊かな自然と調和しながら旅をすることは、まさに列車旅の醍醐味だと思います。

-地域との関わりについてのお考えをお聞かせください。
伊豆の運行で提供される、修善寺の和食「羅漢」とのコラボメニュー(メニューは季節により変わります)

松田 地域と鉄道は常に一体で、地域の発展と共に鉄道も発展するものです。「ななつ星」はやはり観光列車のパイオニアで、我々はその基礎の上に、地域の協力を得て、一体となって旅の舞台を作り上げています。これからもこうした取り組みを大切にしていきたいと思っています。

-ありがとうございました。

画像提供:東急