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海外旅行再開へ向けたロードマップとヘルスパスポートの現状-JATAインターナショナル・ツーリズム・フォーラム2021

  • 2021年11月22日

航空会社、国や州政府によって有効なワクチンパスポートが異なる

 ワクチンパスポートとデジタル・ヘルス・パスポートについて説明したJATA海外旅行推進部の小貫誠副部長は、これらパスポートの取り扱いや有効性については状況が刻々と変化しており、「常にアップデートした情報をキャッチしていることが極めて重要だ」とした。

ワクチンパスポート及びデジタル・ヘルス・パスポートに関わるアップデート(※クリックで拡大)

 小貫副部長は「まず基本的にワクチンパスポートとデジタル・ヘルス・パスポートは全く異なる役割を持っていることを理解することが重要」と説明。ワクチンパスポートはワクチン接種証明書であり、デジタル・ヘルス・パスポートは各国政府が発行したワクチン接種証明書を読み取り、航空会社の搭乗手続や、渡航先国での入国手続きを迅速化するために活用するアプリに位置づけられるとした。また日本のワクチンパスポートは12月からQRコードが付けられ、同コードと文字情報の組み合わせで渡航者の各種情報やワクチン接種情報を搭載できるようになると説明した。

 一方のデジタル・ヘルス・パスポートは現在、IATAのTravel Pass、米国で使用されているVERIFRY、アマデウスのトラベラーIDなどがあるが、これらを採用するか否かは各国の判断次第で、なおかつ判断は刻々と変化しており注意が必要だ。

 またワクチンパスポートに搭載するQRコードの規格は各国で統一されておらず、国によっては航空機への搭乗や入国管理、観光施設やレストランで対応できるQRコード規格が異なる場合もあるという。ワクチンパスポートのQRコード規格によっては、情報を読み込めないデジタル・ヘルス・パスポートもあり、両者の組み合わせも問題になるという。

 さらに航空会社の中には独自に自社サイトやアプリ上での事前登録を求めるケースもあり、ユナイテッド航空はトラベル・レディー・センターで事前登録が必要で、デルタ航空も事前登録が求められる。国や州によっても受け入れるデジタル・ヘルス・パスポートが異なるほか、独自のアプリが必要になる例としてカナダのアライブカナダやハワイ州のセーフ・トラベル・プログラムが挙げられた。このため「航空会社、国や州政府などによって有効なワクチンパスポートが異なり、デジタル・ヘルス・パスポートとの組み合わせも複線化している」(小貫副部長)として細心の注意が必要だと呼び掛けた。