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【コラム】来年、航空運賃やホテルの価格は値上?供給量や流通は?

  • 2021年11月12日

 このところ、観光素材に関する価格改定のニュースを頻繁に目にします。日本航空は再来年(2023年)から国内線の早期割引運賃の廃止及び運賃種別の簡素化を発表していますし、JR東日本は来年から繁忙期の指定特急料金を値上げします。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドもダイナミックプライシングを導入し、繁忙期は事実上の値上となりそうです。

 コロナにより定着した、「密」を避ける、総需要の減退や供給量の減少等、各社それぞれの想定や事情、戦略によるものと思われ、他の企業でも追随して値上をするところが出てくるでしょう。

 巷間言われているように、内際共に業務性需要はコロナ前の水準に戻ることが難しい以上、少なくともその分の供給は減らさざるを得ない訳で、単価を上げる方向に行くのは必然だと思います。また、簡単には供給量を調整出来ないホテル・旅館においても価格戦略の見直しは避けられないと思います。一般的に日本の宿泊施設の損益分岐点は他国に比べかなり高い稼働率を前提に算出されていましたが、おそらく6割程度の稼働率で黒字が出せる価格水準及び経費構造への転換が求められるでしょう。

 ことほどさように大手を中心に供給サイドは既にコロナ後を見据えた戦略へ舵を切っています。一方、旅行会社はどうでしょう?

 供給量の減少や仕入価格高騰を踏まえた商品の企画造成、販促戦略、コスト構造の見直しに着手出来ているのでしょうか。コロナ前と同じように仕入が出来る前提で考えている会社が大半では無いかと思います。仕入条件は価格のみならず、ノンリスクでの在庫確保も難しくなるのは必定、低い単価利益を量でカバーする事も出来ないでしょう。

 ほぼ全ての前提が変わる以上、旅行会社も小手先の改革やマイナーチェンジで乗り切れる筈が有りません。そもそも、旅行業界の利益率の低さは大きな問題だったのですから、ある意味それを是正するチャンスと捉え、大胆かつ早急に手を打つ会社がコロナ前の規模や知名度に関わらず、ポストコロナの勝者になるのでは無いでしょうか。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​