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宿泊施設の予約業務アウトソーシングをサポート、「ミナモ」小池道隆氏

  • 2021年11月8日

提供するのは「引き算のサービス」
パートナーとして宿泊施設の効率化に貢献

-英語以外の多言語対応を求められることはありますか。

小池 ある宿泊施設ではフロントに中国語ができる中国人を配置したところ、中国人客から「フロントの中国人は学生口調の中国語を使う。こんな良い宿で、こんな言葉遣いはがっかり。むしろ日本人に対応してほしかった」とクレームが入ったそうです。日本人が日本語や英語で誠意をもって丁寧に説明すれば言葉の壁は乗り越えられると、宿泊施設の関係者は言っていました。

 ミナモでも対応言語の拡大には慎重です。現在は英語を基本とし、予約上の重要事項や設備の使用方法など全てに精通したスタッフが日本語・英語の両方で対処しています。多言語対応への課題は、単に話せる人を増やせばいいということではなく、会社の管理能力です。言語を管理できるマネージャー人材が確保できれば言語の幅を広げたいと思います。

-インバウンド需要の回復時期やスピードの予想は。

小池 リバウンドはすごい勢いで伸びると見ています。現在、需要が止まっている理由は各国の出入国制限で、コロナ禍が怖くて旅行が嫌いになったわけではない。他国ではむしろ海外旅行に出たいと考える人が多いのが実態です。日本の魅力はコロナ禍前より相対的に上昇しており訪日客を止めているのは入国制限だけ。これが外れた瞬間に飛行機は満席になるでしょう。

 日本政府は入国制限の緩和に対してコンサバティブに対応しそうですが、これはどの国が一番早く観光客を受け入れるかという観光客を争奪するグローバル競争として考えていかなければなりません。パンデミックにあえいだ南欧の方が早く復活するかもしれません。世界的に見れば安全・安心だった日本の方が、観光客を取り逃がすこともあり得る。これは政府の判断次第です。

-確かに入国制限が解ければ需要はあると思われますが、航空座席の供給回復や宿泊施設の受け入れ体制はすぐには戻りません。宿泊施設が受け入れ能力を100%に戻すために必要なことは何でしょう。

小池 現場で対応し切れない需要が押し寄せたとき、どう対処するのかを準備しておかなければなりません。アウトソーシングにより外部リソースを活用するビジネスモデルに移行することもあるでしょうし、需要が急増したときに付け加えるためのオプションとして捉えることもできるでしょう。

-需要の増加に対応するための人員確保などに問題はありませんか。

小池 東京のど真ん中という立地条件もあり、人材を募集すればすぐに集まる状況です。土日対応、24時間対応を考えても十分なオペレーターを確保できます。コールセンターはシフトで仕事ができ、曜日や勤務時間を柔軟に選べるため、ダブルワーカーも多く、国際線乗務が減った客室乗務員の方が働いているケースもあります。雇用形態も、正社員もあればパートやフルタイムのアルバイトもあります。女性の社会進出、副業・兼業の増加は当社にとってもプラスです。

-最後にトラベルビジョンの読者にメッセージをお願いします。

小池 需要が全く戻らないと考えている宿泊施設関係者はいないでしょう。自分たちのサービスが提供できれば多くのお客様を捉えられると自信を持ってもらっていいと思います。難しいのは需要が戻ったときにそれに見合う供給ができるかどうかです。航空座席の問題など、ボトルネックはあちこちにあります。これを一気通貫でコントロールすることが重要です。昨年はGo Toトラベルや県民割で需要が一時的に集中し、対応が大変だった事例がいくつもあります。今後、訪日客の受け入れが解禁されていく中で、その場凌ぎの対応ではなく、労働力をサステナブルに提供できる体制作りが重要になってくると思っています。

-ありがとうございました。