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【弁護士に聞く】「無料 フォトライブラリー」にご注意!

「何に使用するのか」を明確に

 識別可能な人物が映っている写真の場合は、著作権とは別に、その人物の肖像権の問題があるので、その人物からも使用許諾を得ておく必要がある。使用許諾をする著作権者と肖像権者からすれば、何に使用するのかが一番問題なので、その使用目的を明確にしておく必要がある。したがって、書面で承諾を得ておくことが必要になる。旅行会社やレストランがトラブルになるのは、添乗員やウエイターが楽しんでいるお客様に、「写真を撮っても良いですか」とだけ尋ねて了解を得て撮った写真をホームページに使ってクレームになるケースだ。この場合、写真撮影しているのは添乗員やウエイターなので、お客様には著作権はないが、肖像権はある。お客様としては、一緒に写真を撮ることだけ許諾しただけで、それをホームページに使うことまでは許諾していないから肖像権侵害になるという訳だ。

 「インスタグラムにアップしてもいい」と聞いて承諾を得たので、インスタグラムにアップしたら好評だったので、ホームページにも転載したという場合も同様に無断使用になる。

 お客様の楽しんでいる写真を利用したいときは、あらかじめ使用目的を全部列挙した使用同意書用紙を用意しておいて、お客様が同意してもらえる目的に〇をしてもらって、サインをしてもらっておけばパーフェクトだ。


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三浦雅生 弁護士
75年司法試験合格。76年明治大学法学部卒業。78年東京弁護士会に弁護士登録。91年に社団法人日本旅行業協会(JATA)「90年代の旅行業法制を考える会」、92年に運輸省「旅行業務適正化対策研究会」、93年に運輸省「旅行業問題研究会」、02年に国土交通省「旅行業法等検討懇談会」の各委員を歴任。15年2月観光庁「OTAガイドライン策定検討委員会」委員、同年11月国土交通省・厚生労働省「「民泊サービス」のあり方に関する検討会」委員、16年1月国土交通省「軽井沢バス事故対策検討委員会」委員、同年10月観光庁「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」委員、17年6月新宿区民泊問題対策検討会議副議長、世田谷区民泊検討委員会委員長に各就任。