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コロナ後にお勧めしたい!オーストリア・グラーツの魅力を徹底解説!![PR]

  • 2021年9月14日

唯一無二の世界観を誇るエッゲンベルク城

 グラーツ観光のハイライトは、2010年登録のユネスコ世界文化遺産、エッゲンベルク城。この宮殿は1625年から1635年にかけて、神聖ローマ皇帝フェルディナント2世の重臣だったハンス・ウルリッヒ・フォン・エッゲンベルク公が建てたもの。

© Graz Tourismus/ Harry Schiffer
エッゲンベルク城は、オーストリアでも指折りの貴重な遺産と評価されている

 街の西端の城までは、グラーツ中央駅からトラムで7分(グラーツ市内の交通手段についてはこちら)。その最大の特徴は「宇宙」をテーマとしていることで、太陽暦にまつわる様々な数字を設計に利用するなど、非常にユニークな世界観が訪れる旅行者を待っている。

 例えば、建物は上から見て正方形に近い「ロの字」とし、太陽が1日をかけて四方の側面を照らすように設計。中央の塔は日時計のように季節や時間を知らせる。また、東西南北に配された四隅の塔は、四季や「火、水、風、地」という宇宙を構成するとされる4つの要素を表している。

© Graz Tourismus/ Harry Schiffer
太陽光を邪魔しないよう周囲のさえぎるものを排除している

 さらに外側の窓が365、門の数が12、各階の部屋数が31など暦に関わる数字も反映。また客間の数が1日の時間と同じ24であったり、客間の窓の数が52枚で1年の週の数と等しくなっているなど緻密な工夫が凝らされ知的好奇心をくすぐる作りとなっている。これまで実施された例はないが、このミステリアスな宮殿を舞台に謎解きゲームなどを企画できたら、世界でも例を見ない特別な体験となるはずだ。

 旅行者がツアーで見学可能なのは建物の3階(オーストリアでは2階扱い)で、24の豪奢な客間が並ぶが、特に中心の大広間「惑星の間」が圧巻だ。天井画と壁画は惑星や占星術、数などをモチーフに描かれ、特に7つの惑星は、週の7日、錬金術で使われた7つの鉱物、そしてエッゲンベルク家の7人の領主を表している。

© Universalmuseum Johanneum, Schloss Eggenberg / Peter Gradischnigg
惑星の間の息を呑むような絢爛な装飾

日本人なら外せない「大阪屏風全図」

 さらに、日本人として見逃せないのは「日本の間」に飾られている、豊臣秀吉時代の「大坂」の様子を描いた屏風だ(近づくことができないので双眼鏡などを持参すると吉)。また、日本の磁器である古伊万里を壁面に飾った「陶器の間」も存在する。

© Universalmuseum Johanneum, Schloss Eggenberg / Nicolas Lackner
実際には分割され壁の一部として展示されている

 敷地内にはこのほかにもギャラリーや考古学博物館、庭園など魅力がたくさん。できれば半日程度時間を取ってゆっくり見学するのがお勧めだ。なお、オーストリア政府観光局のウェブサイトでは、ここでは到底書ききれないエッゲンベルク城の「七不思議」が紹介されている

© ÖW/ Kara Mercer
敷地内を孔雀が闊歩しているのも特徴