ハワイの「今」を駐在員の視点から-感染者数10人台の日も、オーバーツーリズムが切実に

オーバーツーリズムへの懸念

 日本でも既報の通り、ハワイへの訪問者数は急激なリバウンドを経験しています。最新の観光局レポートでは、5月の米本土からの旅行者数は過去最高を記録したコロナ以前の2019年5月を上回り、約61万人だったと発表されています。ワイキキの活況を見る限りは、そのままの勢いが今も継続しているように思います。

あまりにも急激な観光客の増加で、ホスピタリティ産業では「人手不足によるサービスの質の低下」、住民も利用するビーチパークなどレクリエーション施設では「混雑による観光客と地元民の軋轢」など、オーバーツーリズム問題が報道され始めています。特に、米本土からの観光客へ依存度が高いマウイ島では切実な問題となっており、マウイ郡長が各航空会社と協議し、到着者数を抑制する方法を模索しているようです。

 一方、外国人旅行者の減少が景気に及ぼす影響が大きいオアフ島では、ロックダウンで住民が生活に困窮するよりも観光客が多すぎる状況の方が良い、という意見も少なくありません。

 ハワイへの国内旅行の急増は米国民の海外への渡航制限が解除されるまでの一時的な現象だと思います。しかしながら、既に調査会社は、旅行者の「旅行後の満足度」の低下、「観光の利益が害を上回る」と答える住民の上昇をレポートしています。

 ハナウマ湾の入園料値上げ、州立公園や駐車場の利用料値上げなど、この問題が対策として実行される値上げ案の施行を容易にしてしまう一因になっているのも事実です。日本人観光客が戻ってきた際に、思わぬ負担増になってしまうことを心配しています。

場所取りも大変なくらいワイキキビーチは混んでいます。

 急なリバウンドで、行列や空席待ちなど不自由な思いをされている米本土からの旅行者も少なくないですが、解決は早いように思います。日本人旅行者をメイン顧客とするサプライヤーも英語ツアーの盛況を横目に再開に向けて準備を始めています。一日も早い規制緩和が望まれます。

本稿は、トランスオービット ハワイ マネージャーの水上直弘氏より寄稿いただいています。
※2021年7月2日(現地時間)現在の情報です。

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