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旅行会社や航空会社、JRなどと協力し「来てもらうための施策」を展開-静岡県観光協会 専務理事 望月宏明氏

  • 2021年6月25日
-現在は止まっている訪日外国人旅行ですが、いずれ来る需要回復に向けたインバウンド戦略を説明してください。
静岡ツーリズムビューローが展開するインスタのアカウント「exploreshizuoka」

望月 過去5年間にわたって静岡ツーリズムビューロー(TSJ)が主に欧米豪市場を対象とするマーケティングを担ってきました。一方、中国、台湾をはじめとするアジア圏については、上海、台湾、ソウル、シンガポールにある静岡県駐在事務所が中心となり市場開拓に取り組むという役割分担でした。

 現在、日本の入国制限もあり、ウェブを中心とした情報発信を中心に活動しています。日本からの情報発信に加え、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、タイの各国の現地マーケティング会社とレップ契約をし、現地にて、現地の旅行会社への営業活動、現地メディアとのネットワークづくり、情報発信を実施しております。また、コロナ禍後に回復が早いと言われているアジア各国への取り組みは、これまで以上に県駐在員事務所と連携し、観光協会としても取り組みを強化したいと考えています。

-国内旅行に関して、いわゆるマイクロツーリズムの取り組みや、それよりやや広いエリアへのアプローチとして、それぞれどのような施策を予定していますか。

望月 経済的打撃を受けた県内観光産業の早期回復を図るため、「バイ・シズオカ~今こそ!しずおか!!元気旅!!!~」を実施し、県民が県内旅行を楽しむマイクロツーリズムの促進を後押ししました。さらにコロナの感染状況が比較的安心できる山梨、長野、新潟と連携し、「山の州(くに)」と銘打ったキャンペーンを始動しました。しかし、ほどなくして全国的な感染拡大や静岡県の状況悪化もあって休止になりました。感染レベルが「2」に戻った時点で、各県と連携して再開したいと考えています。

 また広域の来県需要については、今後を見据えて主に関東圏と関西圏を対象に、「来てもらうための施策」を考えており、旅行会社や航空会社、JRなどとも協力しつつ商談会等を再開する準備をしています。

-静岡県が主なターゲットとするのはどのような客層ですか。
伊豆、富士、中部、西部と様々なサイクリングコースを提案。写真は浜名湖一周サイクリングコース「ハマイチ」

望月 ターゲットを定めるというより、その人に合った県内の観光素材や観光地を提案するという方向性です。その中で力を入れている素材を挙げれば、たとえばサイクリング。県内施設が東京五輪の自転車競技会場に決まったこともあり、数年前から静岡をサイクリングの聖地にする取り組みを始動。サイクリングと観光を合わせた魅力づくりを一つの戦略として考えています。同じように一つの魅力やテーマを一つの点で終わらせず、点と点を掛け合わせて有力な魅力に育てたり、商品作りに取り込んだりしていきます。