石原　観光産業に特化した人材リソースのマッチングプラットフォームを考えています。イメージに近いのはinstaworksという海外のクラウドソーシングのサイトです。日本でのクラウドソーシングは入札という感覚がありますが、こちらは需要とスキルとのマッチングという印象が強く、よりカジュアルに仕事が決まっていきます。海外では注目が高まりつつあり、サイトの資金調達も進んでいます。

　こういったプラットフォームをより観光産業に特化させ、IT人材リソースをホテルや旅行会社に繋いだり、フロント業務を担える人材を必要な時に必要な場所に仲介したりと、人材の流動化を支援できるような枠組みを作ることを構想しています。残念ながら宿泊業界はコロナの影響でクローズが進み、職を失っている経験豊富な人材が数多くいます。そのような方々に向けて、正面から就職する以外にも柔軟な選択肢を提供できればと考えています。

　業界内で同じような課題意識を持っている方は多いのではないでしょうか。現在は、これまで知り合ったエンジニアの方や観光関係の方のコネクションを活かして、プロジェクト的に検討している段階です。起業や開発という仰々しい形でなくて構いませんので、空き時間を使ってディスカッションしてみたいという方がいらっしゃれば、是非気軽にご連絡ください。

石原　チャンスがあれば法人化することも考えていますが、当面はこれまで通り個人事業主としてやっていくつもりです。また、現時点ではM&Aやイグジットなども考えていません。

　人材リソース流通の一番のターゲットはホテルや旅館を想定していますが、それをやるとしたら自分自身が宿泊施設を経営してみたいという思いもあり、並行して情報収集を行っています。内部が分かれば課題もより具体的になると思うので、2、3年以内にチャレンジしたいと考えています。

石原　今年は宿泊業界でも多くの方がリモートワークをしていました。そのなかで印象的だったのが、こういう機会なので新しい勉強がしたい、普段の業務から離れてリモート会議などに参加して情報収集したい、という方がいたことです。私の個人の活動やIT領域に比較的詳しいことをお話すると、もっと知りたいと言ってくれる方もいました。

　コロナの影響はまだしばらく続くでしょう。本業の仕事もあると思いますが、観光産業全体を考える上で、また自身のキャリアを考える上で、情報を積極的に集めるに越したことはありませんし、タイミングが合えばそれが仕事に繋がるチャンスにもなります。私自身もこれまでさまざまな方にチャンスをもらってきました。

　オンラインの会議は沢山ありますし、そこで情報収集することも、興味を持った方に実際に会って話をすることもできます。そういったフットワークを発揮できるかどうかが、これからの生き残りを左右することになるのではいかと考えています。