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訪日回復に備えセールス継続-帝国ホテルシンガポール営業所長 島田浩司氏

オンラインと対面のハイブリット型セールスを展開
需要回復は富裕層レジャーから

帝国ホテルシンガポール営業所長の島田浩司氏。インタビューはオンラインで実施(写真提供:帝国ホテル)  政府は10月以降、全世界を対象にした入国制限措置について、ビジネス渡航を中心に徐々に緩和しはじめた。しかし、観光客などを含む本格的な往来再開はまだ先だ。こうしたなか、日本のホテルの海外オフィスは現在、将来を見越してどのような取り組みをおこなっているのか。帝国ホテルでマーケティングや人事、大使館セールスチームでの賓客受入、外資系コーポレートセールスなどを経て同社シンガポール営業所に赴任し、所長として訪日客の誘致を担当する島田浩司氏に話を伺った。インタビューは10月26日に実施した。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

-まずはシンガポール営業所の役割について教えてください

島田浩司氏(以下敬称略) 帝国ホテルは1890年に日本の迎賓館の役割を担って開業し、おかげさまで本年11月3日に130周年を迎えました。大阪も来年3月に開業25周年を迎えます。また、春から秋の季節営業で長野県の上高地にもホテルを展開しております。

 シンガポール営業所は2014年10月に開所しました。担当エリアは広く、東南アジア全域はもちろんのこと、東は香港から、17年からは中東を新規開拓市場と位置づけて西はUAE、サウジアラビア、といったエリアへも積極的にアプローチしています。営業担当は私1人なので、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、コロナ)が流行する前は月に1、2回東南アジアや中東に出張し、現地企業や旅行会社、弊社インペリアルクラブ会員のお客様にセールスをしていました。

 また、東南アジアならではの富裕層マーケティングにも注力しており、カード会社や航空会社の上級会員向けデスク、プライベートバンクとも積極的に情報交換をしています。シンガポールではゴルフコンペなど、富裕層が集まるイベントが数多く開催されるので、ドアプライズを提供してスポンサーになることでイベント後のディナーなどに参加させていただき、積極的にネットワーキングして富裕層の人脈を広げています。

-コロナ以前とは仕事の方法がどのように変わりましたか

帝国ホテルでは全ての入館者に対してサーモグラフィで検温を実施している島田 シンガポールの場合、3月中旬からコロナの感染が広まり、4月初旬から6月初旬まで都市封鎖がありました。同期間に最も大切にしていたことは、既存のお客様とのコンタクトを絶やさないことです。都市封鎖開始後、すぐにリモートでのオンラインセールスを開始し、これまで培ってきた人脈を絶やさないためのフォローアップとして、Zoomなどを使ってお客様に「ご不便はないですか?」とお声がけを継続していました。

 その後7月後半からは新規感染者数が1桁台まで落ち着いたので、8月からは徐々に対面セールスを再開し、現在はオンラインと対面営業のハイブリット型でセールスをしています。最近では、日本の感染者数の状況やホテルの感染予防策をお伝えし、お客様が安心して来日して過ごせるよう、弊ホテルが準備していることをご案内しています。