専門性で生き残る:海外マラソンツアーのマラソンネットワーク

企画から添乗までを独りで、今年は25本
バンクーバーやボストンで走り続ける柴田氏に聞く

-バンクーバーマラソンについては、公式エージェントを務めていますね

マラソンネットワーク・ツアー&トラベルのロゴマーク 柴田 バンクーバーマラソンの48年の歴史において、私は26年に渡りツアーを造成してきました。大会のオーガナイザーも、幾つかある日本のオフィシャルエージェントのなかで、当社を「歴史あるエージェント」と見てくれているのではないでしょうか。

 当社の特徴は現地と太いパイプを持っていることで、ツアーはバンクーバーの旅行会社と協力して一緒に手配しています。必要な情報がすぐに入ってくることも、お客様にとっては当社を利用するメリットになっていると思います。

-そのほかにもヒット商品と言えるものはありますか

柴田 ここ最近、当社の収益のなかで大きなウェイトを占めているのは、ボストンマラソンです。123年の歴史を持つ権威ある大会で、米国人やカナダ人なら「マラソンと言えばボストン」と考えるほどの人気の高さですが、そのため、ある程度の記録を持つ人でなければ参加できません。

 しかし当社はエントリーの権利を含むツアーを造成しており、毎年用意する20名の枠はすぐに埋まってしまいます。その次に多いのが、毎年ご参加いただく方が多いバンクーバーマラソンです。

-毎年参加するランナーなら、旅行会社に頼らずとも自分でエントリーできるのではないでしょうか

柴田 ボストンマラソンのような大会でなければ、ご自身での手配も可能なので、OTAなどで航空券とホテルを予約し、自らエントリーされる方はいると思います。それでも当社のツアーにお客様が参加されるのは、すでに参加者のコミュニティーがいくつもできていて、ファミリーのような雰囲気があるからです。すぐ近くにある安い店ではなく、離れていても顔なじみの大将やお客がいる居酒屋に通ってしまうようなものですね。

-ツアー参加者の年齢層や特徴について教えてください

柴田 現在63歳の私と同年代か、そのさらに上の世代が多く、60歳から75歳までで8割近くを占めます。残りは50代が1割ほどで、40代は稀です。男女比は男性が6割、女性が4割で、ご夫婦で参加される方もいらっしゃいます。

 特徴としては“ランナー”としてマラソンに真摯に取り組む方が多く、「世界のマラソン大会を制覇したい」と考える意欲的な方もいます。一方では高齢のため「今年が最後」という方もいますから、口コミや問い合わせ対応などで少しずつ客層の若返りをはかっていきたいと考えています。