熊野古道SEN.RETREAT

LCCやIT活用で海外旅行市場の活性化へ-ツーリズムEXPO

  • 2018年10月16日

富裕層への取組強化、地方発海外旅行の促進を
IT時代に求められる旅行会社の変革

シンポジウムの様子  ツーリズムEXPOジャパン2018で開催された海外旅行シンポジウムでは、「2030年双方向交流9000万人時代に向け、アウトバウンド市場の潜在力について確認する」をテーマに基調講演とパネルディスカッションが開催された。アウトバウンド市場の課題や、加速度的に進むIT技術の進化と相次ぐ異業種の参入で変化が求められる旅行会社などについて議論が展開された、シンポジウムの様子を紹介する。

<基調講演>
ANA総合研究所取締役副社長 稲岡研士氏

<パネルディスカッション>
パネリスト:

ANA総合研究所取締役副社長 稲岡研士氏
ミキ・ツーリスト代表取締役社長 檀原徹典氏
ハナツアー常務理事 權相鎬氏

モデレーター:
航空新聞社取締役編集長 石原義郎氏


航空座席・客室不足が課題
富裕層への取組強化を

稲岡氏  シンポジウムではまず、ANA総合研究所取締役副社長の稲岡研士氏が「日本人アウトバウンド市場の展望~アウトバウンド拡大がインバウンドの成長を促す~」をテーマに基調講演を実施。30年の双方向交流9000万人に向けた課題として、「航空輸送力」「宿泊収容力」「富裕層マーケティング」の3点を挙げた。

 航空輸送力については、将来的には座席供給量が不足する見通しを述べた。18年は国際線6125万席の供給に対して、需要はアウトバウンドとインバウンドを合わせて4800万人。ロードファクターは78%と需給バランスは取れているが、30年にはアウト3000万人、イン5000万人を想定すると、同程度のロードファクターの場合は1億席の供給が必要となる。稲岡氏は「20年までに予定されている首都圏空港の拡張や地方空港のネットワーク拡大があったとしても、供給は足りなくなる」と説明した。

 インバウンドを念頭に置いた宿泊収容力の不足については、20年までに東京の客室供給量は現在よりも約2万9000室増えて約12万8500室になる見通しだが、「それでも3500室ほど不足する」と説明。国はインバウンドの地方分散をめざしているが、20年に4000万人、30年に6000万人を見据えるなか、客室不足が市場拡大の足かせになる可能性を指摘した。

 富裕層マーケティングについては、アウトバウンドとインバウンド双方での取組強化を提案。アウトバウンドでは、日本には約270万人の富裕層がおり、米国に次ぐ世界で第2位との調査を引用し、「日本の富裕層をもっと海外旅行に連れて行くためのさまざまな商品が必要」と強調した。一方、インバウンドでは年収5000万米ドルを超える世界の超富裕層を呼び込むために、「ブライベートジェットの受け入れ態勢を整えるべき」と訴えた。