「skyticket」のアドベンチャー、燃やす海外OTAへの対抗心

最初からグローバル市場に照準
中村氏「まだ何も始まっていない」

国内の航空券販売サイトとの競合に対する考え方は。最近ではエボラブルアジアがDeNAトラベルを買収しましたが

中村氏 中村 国内の会社とはよく比較されるが、僕たちはあくまでも照準をグローバル市場に定めている。すでに32言語で展開し、100ヶ国以上にユーザーを抱えており、国内の会社とはスタンスが異なると思う。僕たちとしては数十ヶ国で同時に事業を展開しているグローバルOTAの方に関心があり、早く彼らのように米大陸の売上高が何%、ヨーロッパが何%、アジアが何%とポートフォリオを組める会社になりたい。


アドベンチャーならではの優位性とは

中村 まずはユーザビリティで、UI/UXにおける非常に多くの点で優位性があると自負している。検索のスピードや画像処理など、他社には見えにくい部分でさまざまな工夫と投資をし、最先端の技術も沢山使っている。また、アプリのダウンロード数が国内だけで612万に達し、国内航空券市場についてはすでにある程度のシェアを確保できていることも大きいと思う。


30年には取扱高1兆円のうち、7割を海外で稼ぐ予定としていますが

中村 公表はしていないが、現時点でも海外の空港を出発地とする旅行の割合は少なくない。広告展開を開始した4ヶ国が大きく伸びており、日本の旅行会社のなかではかなり割合が高い部類に入るはずだ。

 また、当初から多言語展開を進めたこともあり、日本発の国際線航空券についてもユーザーの4割を外国人が占めている。パスポート情報を取得していないので詳細は分からないが、国内線においても外国人のユーザーは多いと思う。


昨夏には国際航空運送協会(IATA)の公認代理店資格を取得しました

中村 取得後はホールセラーによる発券から、少しずつ自社発券にシフトしている。しかしそのことによって、大きく利益を上げたいわけではない。現在は将来的に利益を生み出せる商品をどんどん追加している段階で、例えば「航空券よりも利用頻度の高いものを」と考えて取り扱いを始めたレンタカーなどは、少しずつ業績に寄与し始めている。

 ユーザー数はかなり増えてリピート率も高いが、しかし日本人は旅行を、特に海外旅行をする頻度が少ない。そこで、次はレジャーチケットを取り扱うなどして、LTV(顧客生涯価値)を改善しようとしている。そもそも利幅の小さい航空券についてはなるべく安価で提供し、クロスセルで利益を出す形にしていきたい。


将来の目標として「地球最大の予約プラットフォーム」を掲げていますが、今後は旅行と無関係の商品も積極的に取り扱いますか

中村 すでに合弁会社でマッサージの予約サイトを始めて順調に伸びているが、本当は14年の東証マザーズ上場を機に、旅行に限定しない生活全般の予約プラットフォームに転じたかった。例えばブッキング・ホールディングスがレストラン予約サイトのオープンテーブルを買収したように、まずは飲食店から始め、そしてオプショナルツアー、さらには歯医者や美容室などの予約へ、といった風に。アマゾンは地球最大のECプラットフォームとなったが、僕たちは地球最大の予約プラットフォームをめざす。

 そのためにはやはり、旅行よりも利用頻度が高い商品の取り扱いを増やし、さらにユーザーを集めて、広告効果を上げる必要がある。僕たちがまだテレビCMを始めていない理由はそこにある。

 「skyticket」ではレンタカーやフェリーなど、旅行に近い交通関連の取り扱いを始めており、今後はバスなども追加する予定だが、拡大のスピードはまだまだ遅いと思う。理由はエンジニアの確保が難しかったからで、現在も課題の1つとなっている。