ANAHD、来年2月にも新中計、五輪後見据え収益力強化

  • 2017年11月21日

片野坂氏  ANAホールディングス(ANAHD)代表取締役社長の片野坂真哉氏は11月21日に開催した定例記者会見で、来年2月を目途に2018年度からの新たな中期経営計画を発表する考えを明らかにした。16年度から20年度までの現中計は20年の東京五輪開催を見据えて策定したが、五輪後の成長を見据えて計画を練り直し、新たに仕切り直す考え。期間については明らかにせず「五輪後の状況次第だが、5ヶ年など長めのスパンになると思う」と語った。

 ANAHDは現中計を16年1月に発表したが、米国大統領選挙の結果やAIなどの進歩、燃油市況の動向などを受けて同年11月には修正する方針を発表。今年4月には修正版の「ローリング版2017」を発表している。片野坂氏は新中計の構想については「FSCとLCCによる航空事業の収益基盤の確立」「グループ企業約80社の再編や投資強化」「AIやIoTの進歩など世の中の変化への対応」の3つを大きな柱として列挙。そのほか「20年の目標としている営業利益2000億円をどこまで引き上げられるか」と語り、売上高よりも収益性を重視する考えを示した。

 なお、今月1日に発表したANAHDの17年度第2四半期の連結業績は、売上高が前年比11.3%増の9850億4900万円、営業利益が28.5%増の1150億8400万円、経常利益が35.1%増の1127億3600万円、純利益が106.1%増の1183億8400万円で、全項目が過去最高を記録。通期の連結業績予想は全項目を上方修正している。このことについて片野坂氏は、主力の航空事業がFSC・LCCがともに好調であることを説明した上で「世界経済が良い状況にあることが要因」との見方を示した。

 片野坂氏はそのほか、今後のハワイ戦略についてもコメント。全日空(NH)が19年度にA380型機の投入を予定する一方、ハワイアン航空(HA)が日本航空(JL)との業務提携により来春にNHとのコードシェアを終了することなどについて述べた上で「基本はオアフ島でも旅行者は一定の割合で隣島に行く。(諸島内での)パートナー確保が課題になる」と述べた。他の航空会社との提携については「基本はネットワークに関してシナジーが生まれること、利用者にとっての利便性が向上すること、両社がWin-Winの関係になれること」と強調した。