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旅行会社とLCCの協業のあり方について議論-JATA経営フォーラム

  • 2017年4月19日

さらなる関係構築に向けた課題とは
LCC3社が旅行会社に要望

LCCの生存には旅行会社が必要
協力して「Win-Win-Win」の関係に

五島氏  講演の後には、バニラエア(JW)代表取締役社長の五島勝也氏、スクート(TZ)日本・韓国支社長の坪川成樹氏、春秋グループ日本代表の王イ氏が、各社の戦略や方針についてプレゼンテーションを実施した。五島氏はJWが成田/セブ、奄美線など、全日空(NH)が運航していない国内外へのリゾート路線を運航し、ANAグループの20年までの中期経営計画においては「第4のコア事業」に位置づけられていることを説明。「成田の地の利を活かして、国際・国内線の両方で需要を取り込みたい」と意欲を示した。

 販売チャネルについては、15年度は自社サイトによる直販が86%を占め、従来型の旅行会社は6%、OTAは5%にとどまったことを説明。ただし「昨年12月に就航した成田/セブ線は、直販よりも旅行会社経由での販売が多い」など、路線によっては傾向が異なるケースも示し、旅行会社との協力に意欲を示した。

坪川氏  TZの坪川氏は、01年から15年までに創業したLCC約240社のうち、現存するLCCは約120社にとどまることを説明。「LCCの平均寿命は3.8年」と厳しい状況にあることを示し、旅行会社については「協業しないと生き残れない」とその重要性を強調した。

 販売チャネルについては、16年4月から12月までの日本路線では、従来型の旅行会社が53%を販売したことを紹介。以下は自社サイトによる直販が28%、OTAが18%と続いたという。

 坪川氏は、TZが6社のGDSと契約しており、FSCと変わらない接続レベルで旅行会社に座席を提供できることなどをアピールした上で、「我々は徹底的に旅行会社と協力している」と強調。「世の中の流れは早く、世界ではOTAの次の(モバイルアプリのみで展開する米国の「Hotel Tonight」などの)MTAまで出てきているが、それでもLCCは旅行会社と協業できる」と明言。今後も時代の流れを注視しながら、旅行会社との協業を続けるとした。

王氏  春秋グループの王氏は、春秋航空(9C)や春秋航空日本(IJ)の日本線の利用者の多くが訪日中国人旅行者であることを説明した上で、「ワンウェイばかりでは何か問題が起こるとリスクになる。ツーウェイでの交流が重要」と強調。「多くの日本人に海外に出てもらうために、社内では日本人に優先して座席を提供している」とアピールした。

 王氏によれば、同社グループの国際線は、70%以上を従来型の旅行会社とOTAで販売。旅行会社については「企画力と集客力が魅力」と語り、旅行会社が航空会社と提携すれば「安価に、安定して座席を旅行者に提供できるようになる」と主張。「航空会社と旅行会社の提携はお客様も含め、Win-Win-Winの関係」と強調し、関係構築に意欲を示した。