持続可能な観光開発に向け取組強化-EXPOでリーダーズ・フォーラム

今年のテーマは「MICEとスポーツ」
今後の議論に向け「東京宣言」採択

スポーツを通じて地域貢献や国際交流を

近畿日本ツーリストの田ヶ原氏   ディスカッションでは、モデレーターのミラー氏が観光におけるスポーツの役割について問題提起。ワッタナワラーングーン氏は「スポーツツーリズムの役割の1つは、地域間の富の分配」と発言し、スポーツにより地域での滞在の長期化も期待できることから、「さまざまな面でタイに恩恵をもたらしてくれる」と語った。田ヶ原氏も地方活性化について触れ、「地元の住民と企業が一体となってイベントを進めるなかで地域の絆も生まれ、プライドの醸成や自立につながる」とした。

 内閣官房の岡西氏は「ツーリズムは経済的な側面だけでなく、日本の地域文化を知ってもらういい機会」とコメント。20年に向けて国際交流を推進する地方自治体を「ホストタウン」として認定し、日本全国に広める政府方針を示した 。YTLのカー氏は民間企業の立場から、「成功のためには、官だけでなく民間企業もかかわることが大事」と主張した。

 スポーツツーリズムのリスクについての議論では、岡西氏が「大きな箱(施設)が要るスポーツにはリスクがある」とし、東京五輪でも「仮設と恒久とのバランスをとることが求められる」と述べた。ワッタナワラーングーン氏は、「コンテンツの数ではなく質が大切」とし、「持続可能なスポーツツーリズムのためには、経済価値のほかに社会的な価値を高めることが重要ではないか」と提言した。


「東京宣言2016」を採択、多角的に議論を継続

調印式の様子。(左から) PATAのハーディー氏、JATAの田川氏 フォーラム終了後には、持続可能な観光の発展について、今後も多角的で建設的な議論を進めていくための「東京宣言2016」が採択された。その後の記者会見でJATA理事長の志村格氏は、宣言について「『開発のための持続可能な観光の国際年』である17年にあわせて、アジア・ツーリズム・リーダーズ・フォーラムだけでなく、観光庁、日本政府観光局(JNTO)、JATAなどが一体となって議論を進めていきたい」と抱負を述べた。「東京宣言2016」の骨子は以下の4つ。

1. 持続可能な観光の発展が世界において重要な政策である
2. アジアが世界の持続可能な観光の発展をリードする
3. 観光の質的な成長をけん引する日本
4. スポーツイベントなどMICEは、観光と地域の持続的な発展に大きく貢献する