新春トップインタビュー:日本旅館協会会長 針谷了氏

訪日客増でネット活用、経営改善の取り組みも
民泊は「イコールフッティング」の原則で

 2015年は宿泊業界において、急増する訪日外国人旅行者に対する受入環境の整備や、旅館の生産性向上のための取り組みなどが官民一体で進み、自宅の一部やマンションの空き室などを活用したいわゆる「民泊」についても法整備に向けた動きが活発化した。事業環境が大きく変化する旅館業界の今後の展望について、全国の約2900軒の旅館やホテルが加盟する日本旅館協会会長の針谷了氏に伺った。


-訪日外国人旅行者が急増していますが、旅館の宿泊の状況は

針谷了氏(以下敬称略) 昨年は旅館の規模を問わず、本格的に訪日外国人宿泊者の数が増加した。地域の格差はあるが、東北を除くほとんどの地域ではそうした動きが見られており、厳しい経営環境が大きく緩和された地域も出てきた。

 例えば、私が経営する琵琶湖おごと温泉の「湯元館」では、14年の宿泊者のうち訪日外国人の割合は3%程度だったが、15年は8.8%に増えた。大阪では、訪日外国人が全体の6割から7割を占める旅館も出てきている。

 訪日外国人の宿泊の増加は、旅館が外国語ウェブサイトを作成するなど、懸命にプロモーションをおこなうとともに、エクスペディアやBooking.comなど海外のOTAを積極的に活用した成果だろう。観光庁や地方自治体も、旅館に対してさまざまな施策を講じてくれた。今後日本の人口が減少することを考えると、旅館にとって訪日外国人は重要な市場だ。


-訪日外国人の受入強化に向けた対策を教えて下さい

針谷 協会本部では、増加するFITに向けた対策として、会員にインターネットの活用を呼びかけている。FITはOTAなどで予約をする際でも、その旅館の公式ウェブサイトを閲覧する傾向にある。現在、会員で外国語サイトを展開している施設は、英語が全体の約4割で、それ以外の言語が約2割。その比率をもっと高めたい。

 我々は昨年11月から、会員向けに多言語ウェブサイトのテンプレートを用意し、廉価で提供している。英語、韓国語、中国語繁体字、簡体字の4言語が対象で、1ページが税込3万円、3ページは10万円だ。すでに2、30件の申し込みがあった。

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