求人情報

JATA東北復興支援、視察や意見交換で観光振興のヒントを-いわき視察より

  • 2012年12月25日

復興後を見据えた独自テーマの設定を

いわき市石炭化石館ほるる。模擬坑道には採掘の様子が人形を使って再現されていた  意見交換会では、いわきならではのテーマの設定が必要との声もあがった。旅行会社からは「震災復興以後のことも見据えて今から動くべき。いわきの素材を見直すチャンス」「目的を明確にし、顧客目線でわかりやすいテーマを設定する必要があるのでは」といった意見が出された。

 具体的なテーマの例としては、いわき市石炭化石館ほるるを活用し、原発の代替エネルギーとしての石炭に焦点を当てた視察や産業遺産ツアーがあがった。ほるるは恐竜と石炭がテーマの施設だが、このうちテーマを石炭に絞り展示を充実させ、現在の模擬坑道のみの見学ではなく、足尾銅山のように廃坑見学や遺跡勉強ツアーを実施するといった案が出された。いわきの観光業者側からも、ほるる敷地内にある坑口跡地や、周辺に点在する炭鉱遺跡などを活用していきたいと前向きな意見が出された。

いわき・ら・ら・ミュウ。全国から集められた海産物が並ぶ。訪れた日は平日の夕方だったこともあってか、観光客の姿はほとんどなかった  また、いわき側からは、カジキをテーマにした観光振興の取り組みが紹介された。いわき観光まちづくりビューローによると、もともといわき沖はカジキのよい漁場で、2010年にはカジキ釣り大会が開催された。震災後、いわきでは一部を除き魚の水揚げがされておらず、カジキも別の場所で水揚げされたものだが、遠洋で獲れるカジキは「安心安全」のイメージがあるとして、地域との関わりあいの深いカジキをテーマに選んだという。

 すでにカジキメンチカツやカジキバーガー、カジキの西京漬けなど15種類のメニューを用意し、グルメマップを作成。東京のスーパーなどで商品が販売されているという。参加した旅行会社からは「本腰を入れてやるべき」と賛同の声が上がり、観光名所で商品を販売してさらなる認知向上につなげると共に、駅弁の設定や、首都圏での告知活動の強化などの提案が出された。