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アジア市場の展望、グローバル市場の戦略-WTTCより

  • 2012年5月29日

アジアではパーソナルな対応が重要

シンガポール政府観光局(STB)チーフ・エグゼクティブのオー・カー・ペン氏  潜在需要、観光開発の余地が大きいなかで、どのようにアジア、また世界からの観光客を受け入れていくのか。STBのチーフ・エグゼクティブであるオー・カー・ペン氏は、観光客数とあわせて消費額を指標として注目しているという。観光客はどのような商品やサービスをなぜ購入しているのか、そしてそれが満足しているのかを知り、マーケティングに活かしているという。アジアの旅行者は「パーソナル」な経験を重視し、既製品は好まないという傾向があるためだ。

 そのため、旅行者とのコンタクトを継続する目的で、さまざまなチャネルを使う。Twitterやfacebookを使い、テクノロジーを活用していくのが、現在のマーケティングのやり方だ。旅行者とのダイレクトなつながりが「パーソナル」な経験を伝える。旅行者のライフサイクルに、旅行やシンガポールへの訪問を取り込んでもらえるようにしていきたいと話す。

日本旅行業協会(JATA)理事長の中村達朗氏  日本旅行業協会(JATA)理事長の中村達朗氏は、東北の復興でもTwitterやfacebookといったソーシャルメディアで情報を直接提供することで、東北への旅行や訪問につながる動きもあると指摘する。ただ、インターネットでのパッケージツアーの購入については、全てが移行しているわけではないとも話し、インターネットでは価格に重きが置かれ、パッケージツアーはインターネットから逆に対面販売に揺り戻しがあるとも語った。

 インターネットでの活動を全般的にみると、アジアで特に目立った動きを指摘したのがグーグル・ジャパン代表取締役の有馬誠氏だ。グーグルの検索トラフィックは、世界全体でもアジア、特に東南アジアの伸びが著しい。この地域はスマートフォンからの検索が多く、検索トラフィックの50%を占めるという。有馬氏はパソコンよりも、スマートフォンが普及しているからとみている。

 さらに、スマートフォンの利用傾向はパソコンと比べ、検索表示結果からのコンバージョンが高く、スマートフォンが普及するアジアでは、観光地や旅行中に検索されることも多い。ホテル、航空会社、旅行会社などのウェブサイトやクチコミ情報の検索結果で役立つ情報は多いことから、クチコミ、ストリートビュー、Youtubeなど各種サービスに反映させ、ユーザーの利便性を引き続き高めていくという。