KNT、12年上期は「大商品改革」、ホリデイは「価値」重視-新商品も

  • 2012年1月18日

KNT取締役兼執行役員、個人旅行事業本部カンパニー長の野中雅彦氏  近畿日本ツーリスト(KNT)は2012年上期商品で「ホリデイが変わる、旅が変わる」を基本コンセプトに「大商品改革」を実施した。店頭販売の強みであるきめ細やかなコンサルティングを念頭に、ホリデイで目的意識が明確で付加価値のある商品を提供する。KNT取締役兼執行役員、個人旅行事業本部カンパニー長の野中雅彦氏は「今こそ旅行会社の価値を示す時。価値をお客様にしっかりとアピールして、この時代だからこそしっかりホールセラーとしての立ち位置を決めていきたい」と意気込みを示した。

 また、同社執行役員個人旅行事業本部カンパニー海外旅行商品事業本部長の田口久喜氏は、インターネット販売が拡大し店舗が減少するなか、「お客様にもう一回店舗で買っていただきたい」とし、店舗では単価の高く付加価値のあるホリデイを「手間をかけて販売していく」考えを示した。一方、エアー&ホテル商品はインターネット専用商品「クリッキー」に集約し「ウェブでローコストの商品を大量に販売する」考えだ。12年上期販売人数は前年比19%増の21万2000人を目標とし、このうちクリッキーは132%増の3万7000人とした。

 商品単価については燃油サーチャージの高騰に加え、ペアシート導入などサービスの拡充や商品内容の充実により、ヨーロッパで2万円、ハワイやアメリカで1万5000円、ミクロネシアで1万円上昇する。田口氏によると、円高については単価に反映できる方面もあったが、ハワイやミクロネシアでは円高を見込みホテルなどの値上げがあり、単価上昇の一因となったという。同氏は「値上がりがマイナスになるとは思わない。いいものは高い、という自信を持って商品を造成した」と自信をみせた。

 ホリデイでは、「“うれしい”がある旅」「“好奇心”の扉を開く旅」「“限りなく”を感じる旅」「“こだわり”をかなえる旅」の4カテゴリをテーマに設定し、商品目的を明確化した。「“うれしい”がある旅」では、全方面で航空会社指定とし、日本発着便の航空座席を近くの席や並び席確約とした。また、「あったら”うれしい”」プランとして、たとえばヨーロッパ周遊・添乗員同行の旅では全コースで夕食メニューが選べるサービスを実施。シンガポールや香港では2階建てオープントップバスをチャーター運航し、オリジナルルートで夜景を楽しむプランを用意した。

 「“好奇心”の扉を開く旅」では、世界遺産シリーズ6方面、地球探訪シリーズ7方面の2シリーズ13方面を設定した。世界遺産ではロシア・バルト3国とシベリア鉄道、中国・シルクロードの2種類を新設し、地球探訪ではブータンを新たに加えた。「“限りなく”を感じる旅」では、大自然を楽しむ旅として、アメリカ・カナダ・スイス・エアーズロックの商品を用意。日の出が鑑賞可能なホテルでの宿泊や、エアーズロックへの登山などをコースに組み込んだ。

 「“こだわり”をかなえる旅」では、提案型のセミオーダー型商品「マイツアー」を新たに設定した。1都市滞在もしくは2都市周遊コースを基本とし、滞在都市発のコースカセットプランやオプショナルツアー、選べる宿泊プランを用意し、顧客の要望やこだわりに応じて組み立てられるようにした。さらに、顧客の希望次第では、掲載のもの以外のアレンジにも対応するという。

KNT執行役員個人旅行事業本部カンパニー海外旅行商品事業本部長の田口久喜氏 また、田口氏は、個人旅行に注力していく姿勢を示した。同氏は今後需要が見込めるとした上で、「他の参加者との食事や、団体旅行をしたくないといったニーズがあるのでは」と推測。自由度の高い商品として「ゆとりっぷ」を新設した。参加者は夫婦限定で、募集人数も8名以上22名までと限った。日数は長めの設定だが、通常駆け足で観光する場所にゆっくりと滞在できるのが魅力だという。ペアシート確約で、2名だけの夕食席も用意。添乗員または現地添乗員同行で、ヨーロッパ、アジア、台湾、中国、カナダ、オーストラリアで設定した。現在は夫婦限定だが、今後女性2名限定版の造成も需要を見ながら検討するなど「セグメント別に進化させていきたい」考えだ。さらに、エアー&クルーズ商品として2名催行の個人旅行カジュアルクルーズも設定した。

 独自企画では、ハワイで「“ライライ”キャンペーン」、パリで「トリコロールキャンペーン」を展開する。ハワイでは今回新たに導入した2階建オープントップバス新車4台や、トロリーが乗り放題になるなどのサービスを用意。また、パリでも2階建てオープントップバス乗り放題2日間乗車券付や、エッフェル塔が間近に見えるレストランやビストロが数軒集まった「ビストロ村」での夕食が選べるプランを設定した。さらに、ホリデイ40周年記念商品として、「イタリア17日間」「フランス20日間」など、添乗員同行の長期日程旅行商品も用意した。