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エアアジア・ジャパン設立、社長に岩片氏-ブランド認知拡大へ

  • 2011年8月31日

エアアジア・ジャパン代表取締役社長に就任した岩片和行氏  全日空(NH)は8月31日、エアアジア(AK)とLCC事業に取り組むため、新会社としてAKとの共同出資会社「エアアジア・ジャパン」を設立した。代表取締役社長に就任した前NHアジア戦略室室長の岩片和行氏は、「今までそれほど飛行機に乗ったことがない人々を含め、需要を掘り起こしていけば、LCCが何社できても我々は生き残っていくことができる」と力強く述べた。

 まずは運航開始までに、ブランドと理念の認知向上をはかる考え。岩片氏は、一般の消費者、特に主要ターゲットである普段飛行機を利用しない層に対しては「AKはブランドとして浸透していない部分がある」と課題を上げた。また、低コストを徹底することで低運賃を広く提供し、広く路線を展開して新たな需要を創りだすという理念も強調。消費者に対し、SNSや口コミを活用し、低予算で効率的にアピールしていきたい考えだ。

 また、ピーチ・アビエーションとの差別化については、ピーチは関西圏を中心とした需要の取り込みをねらうが、エアアジア・ジャパンでは「海外ブランドを日本に取り入れ、首都圏で事業を展開していく」と差を指摘。日本航空(JL)、カンタスグループ、三菱商事の3社で設立する「ジェットスター・ジャパン」については「日本の市場規模と成長性で考えると、他社が何をするのかを気にせず、自分たちのブランドを早急に浸透させ、消費者から評価してもらえるかが大切」との考えを示した。

 就航路線については、国内線は北海道をはじめ日本各地を検討しており、国際線は、エアバスA320型機を活用することから、日本から4、5時間程度の近距離になる計画だ。NHとのコードシェアは現時点では実施しない考えで、乗り継ぎの利便性を高めるよりも、地点と地点を結ぶ路線網を広く設定する考え。また、運賃は、プロモーション用の安価な運賃を設置するか検討中とし、他社との競合を踏まえて設定するのではなく「消費者と航空会社の関係で見ていきたい」とした。

 エアアジア・ジャパンの出資比率はNHが67%、AKが33%で、無議決権株式を含めるとNHが51%、AKが49%となる。資本金は1000万円で、順次50億円まで増資していく予定だ。社員は現在取締役3名が決定しており、最終的にはNHから7名、AKから3名の10名体制まで拡大する計画。今後は9月から10月にかけて航空運送事業許可を申請し、現在NH内にある事務所を年内には成田空港内に移転、年明けには就航路線を決定し、2012年8月の運航開始をめざす。

 なお、今回代表取締役社長に就任した岩片氏は1988年にNH入社後、経営企画室主席部員、運航本部乗員業務部主席部員、東京空港支店旅客部リーダー、広報室主席部員、国際業務室室長を歴任。2010年12月からアジア戦略室室長を務めていた。8月31日付でアジア戦略室主席部員となり、エアアジア・ジャパンに出向した形となる。