「自粛」すでに見られず、夏の旅行に影響は2%未満−JTMが意識調査

 ツーリズム・マーケティング研究所(JTM)がこのほど実施した「東日本大震災が消費・旅行に与える影響に関する調査」で、消費者の自粛ムードが薄れている結果が出た。これは、震災から1ヶ月の4月8日から12日にかけて第1回を実施したもので、今回は5月6日から8日にかけて首都圏と中京圏、関西圏で20歳以上69歳までの男女500名を対象に調査。この中で、震災による夏休みの旅行への直接的な影響は2%未満であったという。

 質問は「宿泊を伴う夏休みの旅行(帰省・親族訪問含む)を計画しているか」で、海外旅行を計画済みが7.0%、検討中が9.0%、国内旅行は計画済みが8.6%、検討中が29.4%。「旅行はしたいが、行くかどうかまだわからない」とした回答者も45.4%にのぼり、「旅行をしたくない/旅行はしないと思う」と答えたのは8.4%であった。

 夏の旅行が未定の回答者269名にその理由を複数回答可で聞いた質問では、「節約・貯金したい」が26.4%、「同行者の都合が合わない・わからない」が24.9%、「休みが取れないと思う」が24.2%と多かった。一方、「被災者した方々に対して罪悪感がある」は1.9%、「目的地までの交通手段がない、あるいは不便になっているはず」は1.1%に留まったほか、「家族・知人に旅行をやめるよう勧められた」「旅行先での食事の安全性が不安」「世間体が気になる」はすべて0.4%となり、震災と直接結びつく回答は軒並み低い数値となった。

 また、間接的な影響でも、「旅行中に地震があったり、災害状況が悪化するかもしれない」は6.7%、「停電・節電などで通常通りのサービスが受けられないかもしれない」と「世の中がなんとなく暗い感じがして楽しめない気がする」はそれぞれ4.8%となっている。


▽「日常生活に戻った」人が3割強、ゴールデンウィークの過ごし方も例年どおり

 「震災が日常生活に何らかの影響を及ぼしたか」を聞いた質問では、32.4%が「震災後は行動が変化したが、今は完全に地震以前と同じ状態に戻った」と回答。地域別では、特に首都圏で44%と高い数値が出ており、中京、関西では「影響を受けていない」と答えた人が6割を超えている。「影響がある」と答えた人は第1回調査では全体の69%であったが、今回は26%まで減少した。

 一方、「災害状況が悪化するかもしれないので不安」と感じている人は、前回の70.6%から減少したものの51.8%と過半数を占めた。ただし、「積極的に買い物したり、出かけたりして元気を出したほうが良いと思う」と考える人が50.8%から64.4%に増加。また、「娯楽を控えようと思っている」人も24.6%から14.6%に減少した。

 このほか、ゴールデンウィークの過ごし方が例年と比較して変化したかについての質問では、「特に変わらない」が66.0%。地域別で見ると、首都圏が58.0%、中京が68.0%、京阪神が78.0%となった。また、ゴールデンウィークに何をしたかの質問で、日帰り国内旅行と答えた人は18.6%となり、泊まりがけの国内旅行が11.6%、海外旅行は1.8%であった。


▽関連記事
震災後の海外旅行市場、FITから回復−夏商戦は長期で割安な旅行提案を(2011/05/17)
取材ノート:震災後の観光産業は一気に変化−緊急未来対策ミーティングより(2011/05/16)
東北旅行業の今、地場の旅行会社が求めるもの(2011/05/11)
GWの海外旅行、16.6%減の43万人予想−震災響くも間際予約に期待、JTB調査(2011/04/19)