アクセスランキング、1位はBAの羽田線、2位はエア・アジアXの就航表明

  • 2010年9月25日
[総評] 今週は、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の羽田/ヒースロー線就航の記事が1位になりました。2位にはエア・アジアX(D7)の羽田/クアラルンプール線就航の記事が入りましたが、羽田にとってBAは2本目の欧州線、D7は初のLCCで、10月末の国際化を控えてさらに動きが活発化してきたようです。羽田路線を設定する予定の航空会社がすべて10月末、または11月はじめから運航を開始するわけではありませんが、今年2月のJATA経営フォーラムで、国土交通省航空局国際航空課の田口芳郎氏が「ほぼすべての主要都市に向けてまんべんなく路線が形成される」と話されていたように、羽田発着の国際線もかなり出揃ってきたように思います。

 今回ランキング入りした2社に関しては、欧州線は外国系航空会社には利用可能な時間帯が使いにくく、エールフランス航空(AF)が「検討すらしていない」」という状況の中で、どのように収益を上げようとしているのか興味深いところです。また、D7はアジアのLCCの雄ともいうべき存在で、こちらもどのようなビジネスモデルを構築するのか見ものです。

 また、今週のランキングでは、国土交通省が国際線航空運賃とチャーター便の設定に関する規制の緩和に乗り出した記事も入りました。チャーターは2008年末から2年も経っておらず、国際航空運賃の大胆な規制緩和も含めて、昨今の航空業界の変化の速さを表しているのかもしれません。「行政は対応が遅すぎる」という向きもあるかもしれませんが、LCCが羽田に乗り入れ、全日空(NH)もLCCを設置するような世の中で、こうした動きが出てきたことは歓迎しても良いように思います。

 このほか、今週は9月22日と23日に奈良でアジア太平洋経済協力会議(APEC)観光大臣会合が開催され、「奈良宣言」が採択されました。観光を地域内の成長戦略の重要な柱と位置づけ、地域で協力して観光の振興をはかろうとする宣言は、観光業界にとっては歓迎すべきものでしょう。アジア太平洋地域に限らず、観光は海外、国内、訪日のどれをとっても需要が増えて損をする人が少ない、いってみれば経済政策の中で「優等生」ですから、ぜひとも今後も積極的に取り組んでいただきたいものです。

 なお、取材をしていて残念だったのは、中国の対応です。代表として来日していた中国国家旅游局副局長の祝善忠氏は、22日のレセプションと23日の共同会見を欠席されました。中国がJATA世界旅行博への出展を中止したことを含めて、観光がこうした政治の道具に使われることは口惜しく思います。外交はテーブルの上で殴り合い、下では握手するものなどといいますが、中国に興味を持つ日本人が訪中する、また日本に旅行したい中国人が訪日することを妨げることは、テーブルにつく以前の問題でしょう。中国人船長は釈放されたそうですが、中国は別の何かを失ってしまったように思います。

 ただし、会見などで中国関連ばかりに質問が集中したことも残念でした。アジア太平洋地域の20ヶ国・地域の、観光行政を担当するある程度以上の立場の方々が集まっているわけですから、それなりの配慮があって良かったように思います。そうでなければ、APECにとっての観光の重要性を強調した奈良宣言が取るに足らないものと言っているようなものです。

 いつもより長くなってしまいましたが、にぎわう旅行博の会場の中でぽっかりと何もない中国ブース(であったはずの場所)を前にして、この数日の取材での煩悶を思い起こし空しさを禁じえませんでした。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2010年9月第4週:9月21日2時〜9月24日18時)
第1位
ブリティッシュ・エアウェイズも羽田就航へ−週5便、パリに続き2路線目(10/09/22)

第2位
エア・アジアX、羽田就航を表明、片道5000円実現−2年で路線拡大めざす(10/09/22)

第3位
国際航空運賃規制を見直しへ、上限認可制に 移行−柔軟な運賃設定が可能に(10/09/21)

第4位
JTB西日本、関空/宮古島チャーター利用商品設定、年末年始の高需要に対応(10/09/21)

第5位
燃油サーチャージ、値下げは13社、据え置きは44社に(10/09/21)

第6位
チャーター規制が大幅緩和へ−航空局、全路線で50%未満の個札販売可能に(10/09/21)

第7位
日本航空、羽田線を外航各社とコードシェア−JL便名の国際線は1日22便に(10/09/22)

第8位
全日空とTAM、コードシェアを開始−NHはブラジル初就航(10/09/22)

第9位
中国、JATA世界旅行博への出展中止、サプライヤーも来日せず(10/09/24)

第10位
馬淵新国交相、「観光立国」路線堅持−日本の「強み」有効活用を重視(10/09/21)