日本航空、第1四半期の純損失990億円−下期国際線供給量を14.9%減に

  • 2009年8月10日
  日本航空(JL)の2010年3月期第1四半期(2009年4月1日〜6月30日)連結業績は純損益990億3600万円の赤字となった。JALグループでは、2009年度経営計画で路線再編やコスト削減、商品競争力強化などを進めていたが世界的な景気低迷と新型インフルエンザの影響により、航空運送事業やジャルパック、ジャルツアーズなどの旅行企画販売事業などが苦戦した。営業収益は前年比31.7%減の3348億9500万円(前年:4903億3600万円)、営業損失は861億500万円(同:39億1400万円の黒字)、経常損失は939億6700万円(同:7億5100万円)となった。

 航空運送事業では、営業収益が32%減の2909億8300万円、営業損失は842億4400万円と大幅に落ち込んだ。このうち国際線旅客収入は46.1%減の973億3500万円と前年のおよそ2分の1となった。燃油サーチャージの値下げやビジネスクラス旅客需要の減少、円高などにより単価は33.7%低下。また、国際線の有償旅客数は17.4%減の242万3827人で、供給量を示す有効座席キロ(ASK)は10.4%減、有償旅客キロ(RPK)は18.6%減となり供給量以上に需要が低迷した。ジャルパック、ジャルツアーズなどの旅行企画販売事業の営業収益は558億2900万円、営業損失は19億6400万円ととなった。ジャルパックでは、景気低迷が続く中で新型インフルエンザによるキャンセルが相次いだ。集客人数では円高を追い風となったアジア方面が前年を上回ったが減収減益となった。ジャルツアーズではダイナミックパッケージなど一部の商品で売上を伸ばしたが、集客人数が全方面で前年を下回った。

 一方、グループ全体の営業費用では、燃油費用の削減や人員削減、消耗品のコスト抑制などが奏功し654億円減少した。JLでは、第2四半期での黒字化を予想しており、9月以降の国際線予約状況が前年を上回るといった回復傾向にあることなどからも通期の業績予想は変更しない。

 また、今回の路線便数計画では国際線の減便や機材変更を大きく進めており、下期のみで国際線座席供給量を14.9%減らす。特に影響が出ている韓国線について、JL経営企画室部長の菊山英樹氏によると、搭乗率が好調であるものの、単価が低いため中長期的に収益性の改善が見込めないことから大きく再編に踏み切った。今回の路線再編以外にも追加見直しに向けた調整をしており、通期で40億円から50億円のコスト削減を見込む。経営改善計画については、人員削減などの具体策やスケジュール、コスト改善計画についてなどを含め8月中をめどに社内で取りまとめる予定だ。


▽ビジネスクラス単価回復厳しく−9月以降の欧米線予約数は順調

 JL取締役資金経理調達部担当の金山佳正氏は、従来単価の高いビジネスクラスに関して、「企業の出張費用抑制などにより既に予算をたてている企業のビジネスクラス利用回復は厳しい」との見通しを示す。こうした中、全体のロードファクターをあげていくため、ビジネスクラスを利用したレジャー商品造成の措置をとっている。欧米線の予約状況は9月以降回復してきているものの、単価を安くしないと売れないため収益性の見込みとしては「厳しい」との予測だ。


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