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「観光こそアメリカの魅力を世界に伝える最前線」、パウワウ閉幕

  • 2009年5月22日
(マイアミ発 特派:宮田麻未) インターナショナルPOW WOW 2009」は、20日夜の閉会イベントで5日間の幕を閉じた。経済危機や新型インフルエンザなど、アメリカの旅行業界にとっては試練ともいえる情況の中での開催だったが、閉会イベントに集まった人々のほとんどは活気のある華やかな表情。バイヤー、セラーの両方から「期待した以上の成果があった」との声があちこちから聞こえてきた。



厳しい状況だからこそ、新たなプロダクトを

 アムネットのインバウンド担当部のマネージャーである今井美奈子さんは、「アメリカの旅行を主として扱っているので、新型インフルエンザの問題は非常にショックだった。6月、7月に予定されていたツアーにはキャンセルがあることも覚悟している」と、現況の厳しさを語ってくれた。しかし、「目的のはっきりしたツアーの場合にはキャンセルは少ない。これからは今まで日本人にあまり知られていなかったアメリカの魅力を紹介していくことで、乗り越えていきたい」と意欲的な姿勢を見せる。

 今井さんは、「今回のパウワウでは、国立公園の情報を中心に集めていきたいと思っていた。アポイントは全枠埋まっていたが、話を少し早めに切り上げるなどして、できるだけたくさんのブースを回って新しい情報を探した」と、見本市兼商談会の様子を話してくれたが、他の日本人バイヤーの中からも「今まで知らなかったプロダクトに出会う時間が欲しかった」との声が出ていた。日本人バイヤーのほとんどが、すべてのアポイントが埋まっている状態で参加しており、会場をゆっくり見て回る余裕があまりなかったようだ。しかし今回は、ランチの後に25分ほどの「オープン・ネットワーキング・タイム」という時間が設けられており、これを有効に活用して情報交換をしたという人も少なくない。新たなプロダクト、ディスティネーション情報の収集に、今年参加したバイヤーたちが非常に積極的であったことを示しているといえよう。


商務長官が挨拶、「2013年までに外国人訪問者の数を6400万人に!」

 パウワウの最終日、参加者全員が集まるランチで挨拶に立った、アメリカ合衆国商務長官ゲイリー・フェイ・ロック氏は「今年、外国から米国を訪れる人の数は前年と較べ8%程度落ち込むと予測されているが、来年には上昇に転じ、2013年には6400万人まで増えると予想されている」と述べ、「世界的な不況の影響などで現状は厳しいが、将来は明るい」と力強く語り、会場からの大きな拍手を受けていた。

 ロック氏は「観光に関連した活動によって生み出される経済効果は1.3兆ドルにものぼる」と言及し、観光がアメリカ経済に及ぼす影響の大きさを政府が重く受け止めていることを強調。また、「観光こそ、アメリカの持つ魅力、自由、ライフスタイル、そして民主主義の素晴らしさを世界の人々に広める鍵になる」と語った。商務長官に任命される直前までワシントン州知事であったことから「マリナーズの野球の試合を見るために、たった2日間の滞在で日米間を往復するという日本人に会ったことがある」という体験を紹介して、「それほどの魅力がアメリカにはある」とアピール。政府は外国人観光客数増加のために、様々な方針の改善を続けていくと述べ、入国審査の簡略化や入国審査官の増加など具体的な取り組みがはじまっていることを示した。

 パウワウ開催中、USトラベル・アソシエーションのプレジデント兼CEOのロジャー・ダウ氏は、オバマ大統領が米国の観光産業の振興をサポートする姿勢を見せていることを繰り返し言及していたが、その成果がこれからどのような形で具体化されてくるかに注目したい。会期中に商務長官レベルの政府高官が挨拶を述べることは今までになかったことだけに、オバマ政権の観光産業への積極的な取り組み方を象徴するものといって良いだろう。

 なお、来年は2010年5月15日から19日まで、フロリダ州のオーランドで開催される予定。(写真:神尾明朗)


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