スイス、09年の日本向け予算5%増額−スイス・トラベル・マートが盛況

スイス政府観光局CEOのユルグ・シュミット氏によると、スイス全体の2008年の宿泊数は前年比2.7%増の7500万泊となっており、「スイスの観光にとってとても良い年になった」と評価。特に、ここ最近チューリッヒやバーゼルなど都市の宿泊数が伸びており、「スイスの都市はコンパクトで、ショッピングなどの都会的な側面と大自然が融合しており、それらが最近は旅行者にも受け入れられている」と分析する。
2008年10月からの世界的な経済不況により、これから2年間は7.5%減の落ち込みが見られると予測するものの、シュミット氏は、「このような状況にもチャンスはあり、ポジティブにとらえている」と話し、スイスにはこのような状況下でも受け入れられる素材が豊富にそろっていることをアピールした。例えばスイスでは、環境を破壊することなく資源を持続的に利用しようとする「サステイナビリティ」の意識がライフスタイルとして定着しており、観光ビジネスにも浸透しているが、その意識はこのような状況でこそ注目が高まるとシュミット氏は説明する。
このため、今後はより一層、自然に配慮したアクティビティや自然自体を楽しむ旅行を積極的に促進していく方針だ。現在スイスでは、環境省が保護や管理状況などを含めある一定の基準を超えた地帯や公園などに「自然公園」の称号を与えているが、今後はその「自然公園」を増やしていく考え。シュミット氏も「自然公園として登録されることで、くにによりしっかり自然が管理される。旅行会社の方にはこれを旅行者が気軽に楽しめるようにアレンジししてほしい」と述べた。
▽日本市場重視を強調−新型インフルエンザで影響も回復に期待

日本市場の動向としては、2008年にレーティッシュ鉄道が世界遺産に登録されたこともあり、スイス東部のエンガディン地方を含む商品の売れ行きが好調だ。スイス三大名峰を巡る旅などのスイスのモノ商品の人気も高いが、現在は日本からスイスへの旅行が夏季に集中していることもあり、春や秋の旅行も促進し季節の平準化をはかることが課題となっている。
なお、2009年は燃油サーチャージ額の値下げや円高傾向などもあり、1月から3月までの日本人訪問者数は前年比4%増と好調に推移していたが、新型インフルエンザによる影響は出ているようだ。クオニイジャパン代表取締役社長フランソワ・ロカ氏は、日本から約1500人のキャンセルがあったと話す。ただし、STMに出展しているサプライヤーからは、「このように大きなキャンセルがでているのは日本市場のみ」との声が挙がっており、人気の高いシーズンである夏までにはこうした状況が回復することを望む声が多く聞かれた。