旅のテーマ:アジアの屋台巡り(1)台湾−夜市

一年中、賑わう夜市

台湾各地にある夜市のなかでも、最大かつ最も有名なのが台北の士林夜市。文林路と基河路に挟まれた一帯にはずらりと店舗が並び、夕方になるとその前の路上で食べ物の屋台や雑貨の露店などが次々にオープンする。手にした食べ物をほおばりつつ、人の流れにもまれながら売り物を眺めるのが楽しい場所だ。
士林夜市を訪れたら、ぜひMRT(近郊鉄道)劍潭駅前にある巨大なフードコート「士林観光市場(美食広場)」をのぞいてみよう。100近い飲食店が建物内に並び、台湾にある小吃(大衆的な一品料理)のほとんどがここで味わえる。これだけの数の店が集まっていると、どの料理を食べたいか、どの店がおいしそうか、どの店が人気かなどを観察し、じっくり選ぶことが可能。なかには地元民が行列を作る店もあるので、列の後ろについてみよう。そういう店はおいしいことで有名か、もしくは最近話題の新しい食べ物を売っている可能性が高い。
台湾のおすすめ料理、日本とゆかりのあるものも
台湾の屋台でぜひ味わいたい料理をあげてみよう。「■仔煎(オーアージエン)」は、片栗粉入りの卵で牡蠣をとじた屋台料理の代表格。とろりとした卵とうまみが凝縮した牡蠣、そして甘辛いソースとのとりあわせが絶妙だ。独特の臭みをもつ発酵豆腐「臭豆腐(チョウドウフ)」は、好き嫌いが分かれる。しかし口に入れると臭いはそれほど気にならない。揚げたものや串焼き、煮込みなどさまざまな調理法で食べられる。「甜不辣(ティエンプーラー)」は魚のすり身フライで、日本の「天ぷら」からきた名前。スパイスもしくは特製のタレをかけて食べ、もちもちサクサクした食感がたまらない。屋台料理はどれもあまり量が多くないので、はしごしていろいろな料理にチャレンジできるのが楽しい。
屋台料理を食べる際に注意したいのは、生ものを避けること。台湾では刺身の人気が高いが、暑さのため生ものは悪くなりやすい。また、大きな氷が入った容器からコップにくんでくれる飲料は、売り手が時々、直接手を入れて中身をかき混ぜたりすることもあり、不安が残る。ただし、かき氷や果物の場合は、大きな問題はないだろう。台湾のかき氷は、練乳入りの氷を細かく砕いたなめらかな舌触りのものや、フルーツをトッピングしたものなどバラエティ豊か。豆花(豆腐のデザート)や焼仙草(仙草ゼリーを温めたもの)などの温かいスイーツは冬にうれしい。どれも小腹が空いたときや食後のデザートにぴったりだ。
■=むしへんに可