個性が光る、ヨーロッパの古城ホテル(3)スペイン バルセロナ

  • 2009年2月4日
 スペインの古城ホテルの代表はパラドール。スペイン独自に開発された国営のホテルで、城や宮殿、修道院などを修復し宿泊施設に改造したものや、古い町並みにその地方独特の建築様式で建てられたものを主に、海辺や山中にリゾートを楽しむために建てられたものもある。





 なかでも、注目したい古城ホテルは、バルセロナ近郊のカルドナにある「パラドール・デ・カルドナ」。パラドールの日本総代理店であるイベロ・ジャパンによると、宿泊客の8%が日本人で、日本での人気が高いパラドールである。3層もの城壁がめぐらされ、周囲を威圧するように丘の頂上にどっしりと構えた、いかにも“古城ホテル”という堂々とした佇まいの見た目のインパクトに加え、バルセロナから列車やバス、タクシーでアクセスできる気軽さが、日本人の支持が高い理由のようだ。


 客室数は54。広い館内は複雑に入り組んでいて、方向音痴の人は「迷子になるかも」と少々心配になるほど。外見の期待を裏切らず、客室のほかサロンや廊下に何げなく置かれた調度品からは歴史の重みが感じられ、中世にタイムスリップしたような気分が味わえる。レストランはアーチ状の石柱が並ぶ素晴らしい空間で、地元カタルーニャの郷土料理を提供。バルからバルコニーに出て小さな塔に上れば、目前に広がるモンセラートの山並みの景色も素晴らしい。隣接する11世紀建造のロマネスクの教会では挙式も可能だ。

 このパラドール・デ・カルドナは、カルドナ候が代々居城としてきたもの。建設されたのは1000年以上も前の9世紀初頭。その後さまざまな建築様式で増改築を繰り返し、現在の姿となった。20世紀からは廃墟同然となっていたが、1960年代にパラドールとしてよみがえった。

 このほかにも、超一流ホテルとして世界に知られるパラドールがいくつもある。世界遺産にもなっている聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラにある「パラドール・デ・サンティアゴ・デ・コンポステーラ」(元王立救護院兼巡礼者のための宿泊施設)とレオンの「パラドール・デ・レオン」(元救護院兼修道院)はその代表だ。どちらも5ツ星の評価を受けるホテルで、歴史はもちろん、建物の荘厳さはほかのパラドールとは一線を画す。「カミーノ・デ・サンティアゴ(聖地への巡礼路)」が日本でも知られるようになり、聖地をたどって旅するツアーも増加している。


▽参考サイト
イベロ・ジャパン(パラドール日本総代理店)
http://www.ibero-japan.co.jp/app/



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写真提供:イベロ・ジャパン