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全日空、来年上期から発券手数料を廃止−「対等な取引関係」に理解

  • 2008年11月19日
 全日空(NH)が2009年4月1日から、日本国内で発券される国際線航空券について、旅行会社のコミッション(発券手数料)を廃止することを決定した。11月17日には日本旅行業協会(JATA)を訪問して説明したほか、旅行会社に対して文書を郵送。米系航空会社、日本航空(JL)に続くコミッション廃止についてNH営業推進本部マーケティング企画部主席部員の大隅雄策氏は、「ゼロコミッションはグローバル・スタンダードになりつつあり、欧米ではNHも、一部の国で1%のコミッションを残している以外は廃止している」と説明。そして、米系航空会社や日本航空(JL)による意思表明で、「アジアにもグローバル・スタンダード化の波が到来した」とし、「コスト競争力の観点」からも追随は避けられなかったという。費用の削減効果は、年間で100億円程度を見込んでいる。

 大隅氏は、旅行会社との関係について、「NHの国際線航空券の8割以上は旅行会社経由。この割合を変えないと言うつもりはないが、『5割まで下げる』といった考えがあるわけではない」と言及。その上で、「特に業務渡航での航空券やパッケージ商品での航空券は、航空会社が直接販売するのは困難、あるいは不可能で、旅行会社の販売チャンネルは引き続き重視する」ことを強調。コミッション廃止により、旅行会社はフィービジネスへの転換を模索することになるが、これについては「今までは航空会社のウェブサイトで購入する場合と、旅行会社で懇切丁寧に説明してもらって購入する場合で、値段は一緒だった」とし、今後は業態やサービスによってフィーが変わるとの予測の上で、「消費者の選択の幅が広がる」との考えを示した。


▽直販への販売手数料は「必要」−金額は他社の動きを考慮

 ゼロコミッションの流れの中で、旅行会社からは「航空会社の直販でも販売手数料を徴収すべき」など、「対等な取引関係」を望む声が多い。大隅氏は、「旅行会社との公平な競争関係の構築のために販売手数料を設定することは、基本的には必要と考えている」と言及。ただし、その金額については「先行他社の動きを見ざるを得ない」といい、今後、欧米系航空会社やJL、旅行会社が設定する販売手数料やサービスチャージを考慮して決定していくとした。また、JATAが会員社を対象に実施したアンケートで出た「リファンド手数料、ADM/ACM手数料など、旅行会社が作業を担当しながら航空会社が徴収する手数料も廃止すべき」などの意見に対しても、「旅行会社のフィービジネス化に向けて、一緒に考え、要望があれば真摯に検討していきたい」という。

 また、コミッション廃止以降の販売促進策として、ボリュームインセンティブについては「基本的に今と考え方は同じだと考えている」とし、「傾斜販売をしてくれる旅行会社や、戦略に合った方面の販売に協力してくれる旅行会社に対して支払っていくもので、考え方自体は変わらない」と説明。ただし、「支払う額が多少増減する可能性はある」といい、「旅行会社からも集中と選択が進む可能性もあり、旅行会社とNHの利益が合致すれば、今よりも多く支払うこともあり得る」と語った。

 なお、国内線航空券でコミッションが残ることとの整合性については、「インファントや燃油サーチャージの設定など、もともと異なっている部分もある」と指摘し、国際的な競争化にある国際線と国内線では環境が異なることに理解を求めた。