ジェットスター、広告効果で旅行需要喚起に手ごたえ、流通経路の拡大を重視

  • 2008年10月3日
(ゴールドコースト発 松本裕一) ジェットスター航空(JQ)日本支社長の片岡優氏によると、積極的な広告展開により、認知度が向上しているという。今年度はタレントのベッキーさんを起用し、テレビCMをはじめ昨年度とほぼ同程度の約20億円を投下。関西国際空港の7月17日から8月18日の国際線旅客数が6%減と減少するなか、オセアニア方面の旅客数は前年比33%増との数値を上げ、広告の好影響を示唆する。また、12月18日に成田/ケアンズ線と成田/ゴールドコースト線の就航を予定する首都圏でも、すでに年末年始は100%、1月以降も75%前後の予約が入っているという。


▽旅行パッケージはフルサービス中心、低価格戦略と別々にアピール

 流通経路は関西と中部では旅行会社経由が85%に対し、成田線は約70%で、直販が30%程度。これについて、JQカスタマーサービスおよび空港担当グループ・ジェネラル・マネージャーで、前長距離路線担当グループ・ジェネラル・マネージャーのマーク・ダル・プラ氏は、「LCCとして直販は重視するものの、流通経路を拡大しなければ、販売の拡大はできない」という。旅行業界との協力体制は適切に構築できていると考えており、ゴールドコースト観光局国際マーケティング本部長のゴードン・プライス氏も、JQの広告が旅行会社の販売の一助になっていると指摘。ダル・プラ氏は「今後も多額の資金を投入し、プロモーションを継続する」と語っている。

 また、旅行会社のパッケージ商品の場合、JQが機内で販売する食事や毛布、エンターテイメント機器を最初から組み込んでおり、フルサービスの航空会社と同様に対応している。ダル・プラ氏は、「ウェブ直販の最安値と、フルサービス、さらにスタークラスと、消費者に様々な選択肢を提供できるようになる」と話す。旅行会社が付加サービスを組み込んでパッケージ化することで、LCCのメリットである低価格の印象が薄れる可能性もあるが、「(価格重視の客層は)ウェブで最安値を購入できる。フルサービスと低価格はあくまで別々にアピールしていく」方針だ。

 上級クラスであるスタークラスの販売動向は、現状のところオーストラリア発で利用する割合が多い。ただし、ダル・プラ氏によると「日本人からの評判は良い」といい、今後も業務渡航をはじめ、「ハネムーンなど特別なレジャー」の取り込みをめざす。また、機内食は、現在はエコノミークラスとほぼ変わらないが、「和食の達人」の料理人、神田川俊郎さんに監修を依頼し、近く導入する予定だ。