アクセスランキング、1位は営業停止、2位はコミッション、3位は地震

  • 2008年5月17日
中国・四川省大地震で被害に遭遇した皆様に、衷心よりお見舞い申し上げます。

 今週は、旅行業の構造変化、そして消費者との新しい関係が構築されつつある、と確信するニュースが多く見られました。年初のご挨拶に「コミッション・カットの流れもいよいよ日本に本格的に到来しそうな雰囲気にあり、旅行業が内部から変革する力が試される年」と書きましたが、それを暗示する事柄が多く揃ったと見ています。1位のアトムツアーの営業停止は旅行業の経営環境について、2位のコミッション・カットは旅行業経営の方向性についてをうかがわせる話でした。さらに7位のJATAの航空会社への要望書送付に対するニュースからは、新たなIT運賃の導入に向けた各社の新たな交渉がスタートしていくことでしょう。

 旅行業はコミッション・カットによる直接的な収入減の方策を見つけることと同時に、収益源をどこに求めるかを考えると、労働対価を航空会社だけでなく、消費者にも見いだす時期に来ているといえるのではないでしょうか。航空会社のウェブサイトを見ていると、旅行会社などが販売している価格と比べ、安い運賃が販売されており、ある旅行会社からは「うちのネット(価格)と比べても安い」という話も聞こえてきます。安い、高いだけで議論することではなく、サイトで買うことのメリットとデメリット、旅行会社で買うことのメリットとデメリットを消費者に「伝えること」が今まで以上に必要になってくるでしょう。

 また、倒産のニュースで、発券済みのeチケットの控えを持った人が搭乗を拒否されたというゴーイングの問題が思い起こされました。消費者は保護されなければならないという意味では、商品造成用の新たなIT運賃の実現による総額表示は、価格に値上がり感があるという意味ではデメリットですが、旅行会社の商売が「詐欺だ」などと批判されない健全な方向に進むという点でメリットになります。この流れからすると、支払われるべきコストはきちんと得るという仕入れと労働対価の関係を重視し、従来の収益構造にメスを加えなくてはなりません。業界内の取引の再構築も消費者抜きで語ることはできず、長期的な旅行業界と消費者の新たなあり方を決めつつある変化が、今まさに起こっているといえるでしょう。従来の方向性の転換について、風の旅行社の原社長が自著で格安航空券の販売から専門会社に変わっていく過程を描いておられましたが、それ以上の苦労がともなうかも知れません。しかし、今が踏ん張りどころで、この時期に変革すれば、2010年の供給増加にともなう拡大につながるのではないでしょうか。(鈴木)



▽トラベルビジョン・記事ランキング(5月第3週:5月12日〜5月16日午後7時)

第1位
アトムツアーが営業を停止、発券済み航空券のリファンド防止に動く(2008/5/14)

第2位
アメリカン航空、UAに追随−1割ほどの影響も対応検討、次はGDS/CRSコストが焦点(2008/5/13)

第3位
四川省の地震をうけた各社状況−販売再開をにらむ時期の発生で対応再検討(2008/5/13)

四川省の地震による各社対応状況(続報)−KNTは一部ツアーの催行を決定(2008/5/14)

第4位
チャプラ・インターナショナルが営業停止、債権者数300名程度か(2008/5/14)

第5位
日本航空、営業利益900億円で黒字転化、国際線が牽引−コスト削減に成功(2008/5/12)

第6位
アンコール航空、財務問題で運航中止−日本GSAは7月末には補償終える見込み(2008/5/13)

第7位
JATA石山氏、新IT運賃の導入に向け「6月にめど」−各社の交渉に期待(2008/5/15)

第8位
日本航空、ハワイ線エコノミークラスでサービス向上−機内食とアメニティ(2008/5/16)

第9位
香港エクスプレス、5月15日から名古屋線運航開始−香港発搭乗率は70%(2008/5/14)

第10位
ニッコウトラベル、増収も大幅減益、ランド費高、セレナーデ号キャンセルで(2008/5/16)