旅行業は複合企業化かM&Aへ、先手が有利−野村総合研究所・森沢氏

森沢氏は旅行業界について、経営コンサルタントが用いる「5forces」という競争要因の分析を実施。旅行業界内とそれを取り巻く、新規事業、代替サービス、買い手(消費者)、売り手(サプライヤー)の5つの相互影響を分析するもの。旅行業界内は競争が激しく、新規事業はネット系旅行会社、代替サービスは旅行以外のレジャーの多様化、買い手はネットにより情報力が増加しており、それぞれ大きな力があるという。売り手側である航空会社、ホテルなどの淘汰が進んでおり、旅行会社への交渉力も大きくなったことから、「旅行業界にはそれぞれの力が強く働き、構造的に不況。利益力が高まる余地がなく、珍しい業界」と評した。
ただし、近年は売り手の中に独自のサービス、特色を持つ強いリゾートなど、有力な企業やプレイヤーが出現しており、これらとタイアップする、あるいは複合化に生き残りの活路が見出せるという。その例として、ドイツのTUIを例にあげるが、巨大な資本力が必要であるため、日本の旅行会社には難しい側面があり、M&Aが主流になるとの読みを示し、先に仕掛けるほうが有利だとアドバイスした。