ジャルパック代表取締役社長の梶明彦氏は、「上期は5億円超の利益を確保した。下期も順調に推移しており、出来るだけ良い決算にしたい」と語り、社内体制の変更や、販売増の施策が結果を生んでいることを強調した。梶社長は市場概況として「中へこもる内向き思考が芽生えていれば、旅行需要の減少、日本経済への影響が懸念される」としたが、「積極的に世界と交流し、旅行業界はインとアウトの双方でがんばり、感動を与える旅行作りをしていく」と意気込みを語った。

　ジャルパックとしては、「2006年の利益はリストラによる部分が大きかったが、2007年はパッケージ商品が好調」で、通年の取扱人員は7％増となる見込み。通期での決算見通しは明言しなかったものの「黒字にできると確信している」と述べ、この数年続いた減少局面から脱却したことを強く印象付けた。好調の理由は、代理店の販売強化、少量多品種の商品企画体制、予約とオペレーションの一体化、品質の向上など、重点とする施策が順調に推移していることをあげている。2008年度は、「あまり好ましい想定はない」としつつ、「シニア層は拡大している」として、マーケットニーズを満たす商品の提供を継続していく。さらに、昨年は新人事・賃金体系の導入を進めたが、スタッフの「プロ」としての働きを求めつつ、特に女性の役割を重視し、各自に活躍の場を提供していくことで、さらに活性化し、販売増に転じている現況を確立していく考えを示した。


▽2008年度商品の年間テーマは「品質へのこだわり」
　2008年度の上期商品は、I'LL（アイル）の年間テーマを「品質へのこだわり」とし、安心、高品質、快適と従来からの体制に加え、気配りサービス、食事、ホテル・観光素材にこだわる独自性を打ち出した商品を揃えた。例えば、中国では、パンダに直接朝食を食べさせ、一緒に写真撮影ができる中国の観光にこだわったプランや、美食家が注目するバスク地方の名物料理や伝統菓子を堪能する食をテーマにしたプランを設定。さらに日本航空（JL）のシンガポール線就航50周年を記念し、就航日にあたる5月8日出発限定で、JL復刻版鶴丸エアーラインバッグを提供する。また、アイル、アヴァ商品として、JLの台湾運航などに伴い、新たに台湾コースを追加、夫婦で台湾をめぐる5日間のプランを15万円から用意した。

　また、富裕層向け商品の強化策として、JLエグゼクティブクラス利用の商品を拡充し、アイルの中国の大阪発292コースのうち、周遊コースや食事観光コースなど計160コースでJLエグゼクティブクラスを利用、組み込めるようにした。その他、JLプレミアムエコノミー利用の商品を設定し、ドイツのライン川クルーズと古城観光のプランは62万9000円から販売する。特に、JLからの座席供給量が減少しており、JLのプレミアム戦略によるプレミアムエコノミークラスの導入で、グループ対象の座席数は引き続き減少するとの見通しもあり、プレミアム商品の強化を促進する。

　ウエディングプランでは、新たにワタベウェディングと共同企画した「WEDDING　VACATION」をハワイ、アメリカ、アジア、オーストラリア、グアムの6方面で展開し、伸び悩むオーストラリアへの送客増をめざす。

　サービス面も利便性の向上を図り、業界で初めて旅行日程表のウェブ閲覧サービスを開始、ジャルパックサイトで3月にもサービスを開始する予定だ。旅行者には従来と比べ、最終旅程表の到着を前に確認ができることから、代理店への問い合わせ軽減に繋がると予想しており、顧客満足度の向上につなげる考え。また、新予約システム「JALPAK　NAVI」も4月をめどに導入し、ジャルパック商品の販売増を見込む。


▽08年度上期の販売目標人数
方面／合計／アイル／アヴァ（それぞれカッコ内は前年比）
ハワイ　6万5500人（1％増）／1万7000人（2％増）／4万8500人（1％増）
アメリカ　1万3200人（同）／3900人（1％増）／9300人（同）
ヨーロッパ　2万1700人（1％減）／6700人（1％増）／1万5000人（2％減）
アジア　4万4100人（2％増）／1万100人（同）／3万4000人（3％増）
オセアニア　1万8750人（4％減）／4200人（8％減）／1万4550人（2％減）
グアム　3万100人（同）／4600人（6％減）／2万5500人（2％増）
中国　1万8800人（3％減）／4500人（4％増）／1万4300人（5％減）
台湾　1万8800人（1％増）／2200人（1％増）／8400人（1％増）
世界紀行　450人（47％増）／400人（41％増）／50人（117％増）
合計　22万3200人（同）／5万3600人（同）／16万9600人（同）