日本航空西松社長、「退路を断って取り組む」−収益力の向上へ

  • 2007年2月7日
 日本航空は6日、中期経営計画「2007-2010年度再生中期プラン」を公表した。この計画の名称に「再生」を入れたが、同日の会見で西松遙代表取締役社長は「計画策定者として、退路を断って取り組んでいく」と語り、厳しい現状認識を示し、その対応という考えを強くにじませた。2010年の復配が1つの指標となるが、「出来るだけ前倒しで実現したい」という考え。また、「痛みを分かちあう」こととして、役員報酬のカットで社長は60%、会長、専務は55%、役付取締役は50%、取締役45%とそれぞれ減給する以外に西松社長自身は「管理職として最下限の年収」となる年間960万円の報酬とすることも明言した。こうした姿勢を示し、社内外の協力も得たいようだ。

 プランは羽田空港の新滑走路の供用開始、成田空港の暫定滑走路の延伸による容量拡大に向け、「間にあわせるための事業基盤の確立」に重点を置いたもの。費用削減、機材サイズの適正化、高単価旅客のリピーター化、有利子負債の圧縮などの課題を解決する策として、(1)コスト削減による収益力の強化、(2)機材更新によるダウンサイズと競争力強化、(3)高収益路線へのシフト、(4)航空運送事業の資源集中が主な柱となる。

 コスト削減では人件費500億円の削減と低コスト運航の推進が柱。連結ベースで2006年から4300人の人員削減を行い、JL本体としては1400名、このうち特別早期退職を700名と想定。このほか、グループ一体として販売要員の効率化などを進める。路線でも既に国際線での運休等を進めて来たが、国内線でも最大規模の運休、減便などを発表しており、国際線は特に高収益路線へとシフトする。

 国際線については便数としては今後、2009年までは増加が見込めない程度で推移、1便あたりの供給座席数は期間中、減少する見通し。2006年度を100とした場合、2009年度には80台後半程度を想定している。また、座席利用率は2006年度の68%から2007年度には69%、機材更新が進む2008年には72%と70%台を回復する計画。ただし、座席は単価の高いファースト、ビジネス、プレミアムエコノミーは増加する一方、エコノミークラスについては2009年度まで減少、2010年度に回復する計画だ。

 こうした高収益商品へのシフトは既に国内線でのファーストクラスの導入、国際線プレミアムエコノミーの導入などで発表しているもの。これらに加え、2007年4月には法人センターを設置し「法人へのセールスが少し欠けていた」(西松社長)ところを強化するなど、競争力強化にも注力する。

 また、国際線ではJALウェイズとJALエクスプレスの運航を現在の国際線24%から37%までに高め、客単価の向上とあわせ、低コスト運航の推進も一体として進め、収益力の向上につなげる。