ひろきのトラベル×シネマ No.001 「06年前半の国内公開作品の動向を知る!」

  • 2006年1月14日
 この「ひろきのトラベル×シネマ」は旅行業界のための映画情報コーナー。「トラベルシネマライター」として、旅行業界とエンタメ業界を股にかけて取材・執筆活動中の西咲ひろきさんが、独自の視点で紹介していきます。
 新作中心の映画情報から、ロケ地情報、そして関係者インタビュー、国別映画祭レポートなどを旅行業界に向けてお届けします。ツアー商品造成のヒント、国・地域別イメージのアップ、あるいは店頭でのコミュニケーションまで幅広く、「映画」を切り口にした業界の人が活用できるヒントを提案します。いずれはコミュニケーションの場へ発展させる、というアイデアもありますので、ご期待ください!



□賞レース参加作品から目が離せない1〜3月
 新年を迎えて早々、世界的な注目を集めているのはアメリカのアカデミー賞。既に賞レースが始まっています。1月16日(現地)のゴールデングローブ賞発表、1月30日(現地)の第78回アカデミー賞各賞ノミネートの発表と3月5日の授賞式。豪華スターや映画監督の巨匠たちがレッドカーペットを歩き、世界中のメディアに頻繁に登場します。
 さて、気になるには、アカデミー作品賞ノミネート有力候補作品。筆頭に挙げられているのが、台湾出身のアン・リー監督による『ブロークバック・マウンテン』(春公開予定、作品舞台:米国ワイオミング州、ロケ地:カナダ・アルバータ州)。ロッキー山脈の雄大な自然風景を舞台にしたカウボーイの禁断の愛を描き、かつ旅情に訴えかけるシーンの数々を見せてくれます。
 スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作『ミュンヘン』(2月4日公開)は、1972年のミュンヘン五輪事件以後を題材にしたドラマで、ドイツ、五輪といった話題のキーワードで興味を惹きます。カナダ出身のポール・ハギス監督『クラッシュ』(春公開)はロサンゼルスが舞台。「出会い」による偶然の連鎖が起こす事件と、様々な人種で成り立つ社会の実態に深く切り込んでいます。
 このほか、50年代、ロカビリーの黄金時代を築いたミュジージシャン、ジョニー・キャッシュの恋愛を描く『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(2月公開)、「ティファニーで朝食を」で知られる小説家トルーマン・カポーティの人生の転機を描く『カポーティ』(06年後半公開)、米国放送界の『グッドナイト&グッドラック』(5月公開)など、アメリカの伝説的な人物を題材にした作品も、米国文化の多彩な側面を伝えています。
 社会派ドラマでは、ミネソタ州北部の鉱山の町を舞台に女性差別問題を告発する、ニュージーランド出身のニキ・カーロ監督『スタンドアップ』(1月14日公開)、カナダ出身のデイビット・クローネンバーグ監督による暴力と家族への愛情が交錯する作品『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(3月公開予定)などもノミネート有力作品です。

(写真1)
ミュンヘン
2月4日、丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー
配給:アスミック・エース 
http://munich.jp/
TM & (C) 2005 DREAMWORKS LLC./Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.


□ヨーロッパは文学・歴史の大作が充実!
 ヨーロッパ方面を舞台した作品では、英国関連が充実。『プライドと偏見』(1月14日公開)は、英文学「高慢と偏見」の映画化です。イギリスのカントリーサイドの美しい田園風景を舞台に階級差の恋愛ストーリーが綴られ、「行ってみたい」と思わせるシーンが満載です。現在、地球の歩き方ウェブサイトでは、ロケ地取材の詳細レポートを掲載中していますので、参考としてはいかがでしょう!
 また、チャールズ・ディケンズ名作をロマン・ポランスキーが監督した『オリバー・ツイスト』(1月28日公開)、ジョニー・ディップ主演『リバティーン』(春公開)、英国の作家C.S.ルイス原作の壮大なファンタジー大作『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』(3月4日公開)など、話題の大作公開も予定されています。
 フランス関連では、例年好評のフランス映画祭が場所を東京都内に移して06年3月に開催。今年はマリー・アントワネット生誕250周年の年でもあり、ソフィア・コッポラ監督、キルスティン・ダンスト主演による映画『マリー・アントワネット』(公開時期未定)への期待も高まっています。
 舞台をイギリス・フランスなどに跨ぐトム・ハンクス主演『ダ・ヴィンチ・コード』(5月20日公開)も06年前半の目玉作品の一つ。日本旅行が「ベスト ダ・ヴィンチ・コード 魅力のヨーロッパ」をタイアップ企画として05年11月から販売。現地ホテルでも関連プランを設定して観光需要が拡大中。目下、ルーブル美術館も大盛況です。
 また邦画ですが、フィンランドでオールロケ撮影を敢行した『かもめ食堂』が、フィンランド政府観光局などの後援を得て今春に公開。小林聡美やもたいまさこといった個性派女優たちが、おもしろおかしく競演します。

▽地球の歩き方 映画の舞台を訪ねる旅
http://www.arukikata.co.jp/webmag/2005/cinema/drama03_051100.html

(写真2)
オリバー・ツイスト
1月28日、日比谷スカラ座ほかにて全国ロードショー
配給・東芝エンタテインメント
http://www.olivertwist.jp/


□アジア映画は出演者に注目!
 韓国映画旋風は、韓流スター出演作品を中心に今年も継続の模様…。イ・ドンゴン主演『B型の彼氏』(1月28日公開)、クォン・サンウ主演『美しき野獣』(2月11日公開)、チャン・ドンゴン主演『タイフーン』(4月公開)、チェ・ジウ主演『連理の枝』(GW公開)、カン・ドンウォン、ハ・ジウォン主演『デュエリスト』(5月公開)などが予定されています。ロケ地ツアーやファンミーティング、現地プレミア試写ツアーなどの旅行商品は今年も好評を博すことでしょう。
 中国映画は、中国2大巨匠の作品が相次いで公開される。チャン・イーモウ監督、高倉健主演の映画『単騎、千里を走る。』(1月28日公開)、チェン・カイコー監督、チャン・ドンゴン、真田宏之出演『PROMISE』(2月11日公開)。なお、『単騎〜』は、阪急交通社が中国雲南省ロケ地への見学ツアーを企画しており、2月に催行予定。中国では、国際的なレベルでの映画製作が進行中で、今後も数々の大作が登場することになります。

 今回は駆け足での紹介となりましたが、本連載にて政府観光局、航空会社などが後援する作品、タイアップ作品などを、突っ込んで詳細紹介していく予定です。

(写真3)
美しき野獣
2月11日、日韓同時公開
http://www.beautiful-beast.com/
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