
アマデウス・アジア本部プレジデントのデービッド・ブレッド氏、およびバイス・プレジデント、eコマース担当のピーター・スミス氏がこのほど来日、現状と航空会社へ供給するシステムなどについて語った。アマデウス全体としては航空各社にインベントリ管理システムなどを提供し、旅行会社への航空券を提供する流通部分、航空会社の生産管理、さらに消費者への販売を行うeコマースの3本柱が整ってきている状況。特に、インベントリ管理システムとeコマースはこのところ、急激に規模を拡大している分野。企業の出張需要の取り込みを日本でも進めたいところだが、これについては、旅行会社の協力は欠かせないとの考えも示している。
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ブレッド氏は現在、アマデウスが航空各社に販売および予約管理のアルテア・セル、インベントリ管理のアルテア・プラン、出発管理のアルテア・フライの3システムの導入を進めていることについて、「将来の(技術革新の)予測を踏まえながらシステム開発を行っている」と語る。特に、スターアライアンスとは予約、座席、フライトなどを管理する新たな共通ITプラットフォームの構築について正式に発表しており、ルフトハンザドイツ航空(LH)は2006年下期に導入を開始する計画。こうした動きについて、ブレッド氏は「1つのレコードを複数の航空会社等で共有する技術を提供している」とし、顧客志向を強める航空各社、アライアンスに対して差別化した技術提供が重要になっているという考えを示した。
この上で、特にスターアライアンスが進めている新たな流通システムのGNE構想については、「新しい技術を使っているが、技術的には高くは無い」と指摘。今後の利用についての予測として、「GDSを補完するもの。2地点を結ぶシンプルな旅程をはじめとするニッチな市場」となる見込みを述べる。また、コスト面についても、「低価格で魅力的な金額であることには違いない。しかし、(アマデウスは)『Value Based Price(価格に対する価値)』で競争していく」という。
▽企業の関心高い危機管理にも対応可能なシステム

eコマースでは特に企業の出張において利用される件数が伸び、現在は約20ヶ国、600社に提供。特にシステムの導入によるメリットはコスト管理、企業の出張規定の順守、購入の意思決定を良い条件で行うことができることが特徴。アジア、特に日本での課題として、スミス氏は「航空会社、旅行会社、アメックスやTQ3の巨大な企業と共にインハウスなどのパートーナーが重要」との認識を示した上で、「アマデウスe-Travel」と各企業がデータベースをはじめとした利用が進むオラクルとの連携も良く、求めに応じた仕様へのカスタマイズも行い、利便性を追及する考えを示す。また、企業の管理部門では最近の世界情勢の不安定な側面を考慮し、危機管理面を重視。この点にも配慮しており、実例として「マイアミでの洪水、パキスタンの地震発生時にも数分で企業の出張者の居場所を特定できた」などとし、実務担当者にも使いやすく、即効性の高い対応ができるとメリットを強調した。