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JATA、実践的エコツーリズムセミナーを開催、テーマの提案が重要

  • 2004年3月16日
 日本旅行業協会(JATA)はこのほど、「旅行商品企画者のための実践的エコツーリズム」セミナーを開催した。開催にあたり、JATA社会貢献委員会委員長の荻原典氏(エムオーツーリスト代表取締役社長)は「エコツアーに難しい印象を持つこと、地元の方に誤解を招くこともある。一方で、高い評価を受けると同時に業績に貢献するツアーもある。セミナーを通じて業界として正しい理解を図りたい」とセミナー開催の意義を語った。
 セミナーでは財団法人日本交通公社の小林英俊氏はエコツアーの市場を分析。オーストラリアの市場分析に言及し、「絶対にエコツーリズム(Definites)が27.6%、多分エコツーリズム(Probables)が29%、もしかしたらエコツーリズム(Possibles)が10.2%、その他がノン・エコ(Non-ecotourism)の主に4つに分類が可能」と説明。アメリカでは15%がエコツアーを好み、16%が一部の旅程にエコツアーが組み込まれているもの、18%が到着した時点での判断をしている。旅行会社としてエコツアーの取り組みをはじめるには現段階では、「多分」と「もしかしたら」の層をターゲットとすることが良いのではと提案する。
 また、風の旅行社代表取締役の原優二氏、アルパイン・ツアー・サービス営業企画部長の芹沢健一氏がそれぞれの経験から自然の楽しみを組み込んだツアーの実態を紹介。芹沢氏は「最近は50代から60代、上は80代手前の方まで参加するようになり、顧客層の広がりを感じる」と述べ、需要に厚みが出てきていることを指摘。顧客への告知としては原氏は「約5000名にダイレクトメールを送付。定期的に参加する1200名から1300名がリピーターとなっており、商品企画が生命線」と語る。さらに、自然を扱う旅行商品としてお客の満足を得るための秘訣として、インタープリターとの人間関係、旅行会社側がお客に自然をどのように伝えるかが重要であること、そして時には宿泊のキャンセルなどでのリスクが伴うことを語った。単に自然を組み込むことがエコツアーではなく、商品を取扱う上での理念やテーマが重要であり、両社とも商品造成には多くの時間を費やしていることも言及された。