日本旅行、2030年見据えた新章へ、中計始動と組織改正を発表
日本旅行は2026年度から2030年度を対象とする「日本旅行グループ中期経営計画2026-2030 新章」を策定し、構造変革を軸とした取り組みを開始した。あわせて2026年1月1日付で組織改正を実施し、インバウンド・グローバル事業の強化や事業運営の効率化を図る。
今回の中期経営計画は、ポストコロナを経て加速するDX・AIの進展や少子高齢化、国際情勢リスクの高まりなど、事業環境の大きな変化を背景に策定されたものだ。最終年度の2030年までを「構造変革期」と位置づけ、新たなグループ理念と企業ビジョンのもと、その先の発展成長期に向けた基盤整備を進める。120周年を機に「第二の創業」として、従来事業の延長ではなく新たな価値創出を目指す姿勢を明確にしている。
事業戦略では、ガバナンス強化や人財価値の最大化を前提に、ソリューション事業、ツーリズム事業、インバウンド・グローバル事業、AI・DX、新規事業などを強化する。ツーリズム事業ではWeb機軸へのシフトを進め、AIエージェント時代を見据えた「ニューツーリズム」への対応を打ち出した。インバウンド分野では都市部集中の是正を意識し、地方誘客につながる取り組みを強化する方針だ。5年間で約60億円規模のシステム投資も計画しており、業務効率化と新たな価値創造を両立させる。
こうした戦略を実行する体制整備として、2026年1月1日付で組織改正を行う。インバウンド関連機能を集約した「インバウンド・グローバル事業本部」を新設し、戦略立案から営業までの一体的な推進体制を構築する。また、ツーリズム事業本部では統括部の再編による運営効率化を進めるとともに、着地コンテンツ事業への本格参入を見据えた組織強化を行う。さらに、MaaS事業や宇宙事業、外国人人財活用事業など成長分野の位置づけを明確化し、収益事業化を加速させる狙いだ。
日本旅行は新中期経営計画と組織改正を通じ、グループ経営の強化と事業ポートフォリオの最適化を進め、国内外の旅行需要回復と中長期的な成長に対応していく構えだ。