英国、2030年にインバウンド5000万人へ、日本からも1.8倍-キャンペーン好調
英国政府観光庁(VB)は11月26日から28日にかけて、中国・四川省成都で中国と日本、韓国の3ヶ国を対象にした商談会を開催した。英国のサプライヤーと日中韓3ヶ国の旅行会社が一堂に会して商談を交わす毎年恒例のイベントで、今年はセラー45名とバイヤー約90名(うち日本からはメディアを含む5名)が参加して商談を交わした。
VB CEOのパトリシア・イェーツ氏によると、英国政府が2024年に新たに掲げた「2030年に訪英旅行者5000万人(※2024年4260万人)」の目標に向けて、VBでは日本など3ヶ国からの旅行者についても2倍近く増加する意欲的な目標を設定。例えば日本は2019年が38万9000人、25年は24万2000人の見込みだが2030年は43万6000人と予想し、中国にいたってはそれぞれ88万3000人、52万2000人、110万人と2025年比で倍増以上の伸びをめざし、同様に消費額も大きな伸長を想定している。
イェーツ氏は本誌取材に対して「日本市場は英国にとって非常に重要で、長年にわたって価値のある存在」であるとコメント。コロナ禍からの回復は中韓2ヶ国とともに遅れ気味だったが「今はまさに回復の軌道が上向きになっている瞬間。来年は約20%の成長を予測している」とし、商談会によってセラーとバイヤーのつながりを再構築することで需要回復の波に乗る好機と期待を語った。
また、VBでは今年4月から国際担当副長官のポール・ガウガー氏が北東アジア3ヶ国も統括する担務の変更を実施。ガウガー氏は「日本市場の存在感を高めたい」と意欲を語り、特に現地での観光消費額が大きい、いわゆる「ハイイールドトラベラー」の獲得や若年層の需要掘り起こしに力を入れていきたい考えを示した。
ハイイールドトラベラーは世界各国の観光当局が誘致にしのぎを削る存在だが、VBとしては「美しい風景や歴史、ヘリテージ、文化、伝統といった英国ならではの認知」を有効に活用してそうした客層に適した付加価値の高い商品を供給していく方針。そしてその実現に向けては、最重要と位置付ける日本の旅行業界との協業に加えインフルエンサーやメディアを通したストーリーテリングにも取り組んでいく。
今年1月に日本でも開始した、英国で撮影された映画やドラマなどを通して英国の魅力を伝えるキャンペーン「Starring GREAT Britain」も引き続き展開。『ミッション・インポッシブル』や『くまのパディントン』など人気作品の劇中シーンやキャラクターたちが英国各地で躍動するプロモーション動画などにより「これまでで最も成功したキャンペーン」(イェーツ氏)となっており、日本市場では現在同動画の4分間バージョンをセミナーや旅行会社のイベントなどで活用しているところだが、視聴しやすい短めのバージョンの制作や消費者の目に触れる機会の増加も検討していく。
※両氏のインタビュー及び日本市場での活動などの詳細は別途掲載予定



