セブ・パシフィック航空、2035年に旅客数6000万人を目標 日本路線も強化
アレクサンダー・ラオ社長兼COO
セブ・パシフィック航空は11月7日、日本市場における最新の事業戦略を発表した。アレクサンダー・ラオ社長兼最高商務責任者(COO)は、日本を同社の国際事業拡大の中核市場と位置づけ、冬期スケジュールで主要路線の増便を実施する方針を明らかにした。
セブ・パシフィック航空は、フィリピン最大の航空会社として現在国内外123路線を展開しており、週3000便超を運航している。2024年は2450万人を輸送し、2025年上半期には630億ペソの収益(前年比23%増)を記録した。営業利益率は18%に達し、世界の航空会社上位5社に入る水準となった。
同社は1996年に運航を開始し、2005年からはLCCモデルを基盤に「航空旅行の民主化」を目指してきた。保有する航空機は100機を超え、2029年までにA321neoおよびA320neoファミリー機最大152機の導入も予定されている。また、2035年の目標として旅客数6000万人・収益50億ドル超を掲げており、この目標は、すでに発注済みの機材数および過去数年の旅客数平均成長率(年率約11%)を基に算出されたもので、旅客数の内訳として国内線70%、国際線30%の比率を想定していると説明した。
ラオ氏は会見で「昨年のフィリピンから日本への渡航者数は前年比31%増、日本からフィリピンへの旅客数も15%超の伸びを示している」と述べ、両国間の交流拡大が同社の成長を支えていると強調した。同社は現在、東京(成田)・大阪・名古屋・福岡・札幌からマニラ、セブ、クラークを結ぶ8路線を運航しており、日本‐フィリピン間では地元航空会社として最大の座席供給量を有する。
今冬からは成田‐セブ線を週8便から11便、成田‐クラーク線を週5便から7便、大阪‐セブ線を週7便から11便(2025年12月20日~2026年1月4日)に増便するほか、札幌‐マニラ線も週3便から7便に拡充する予定だ。ラオ氏は「日本市場は持続的な成長を続けており、増便は需要の強さへの自信の表れ」と述べた。
さらに、低コスト運航構造を維持しながら競争力を高める方針も示した。「フィリピンは人件費や空港コスト面でLCC運営に適した環境にあり、当社の強みは業界最低水準のユニットコストにある」と説明。これにより、価格競争が激化する日本のLCC市場においても高い価格優位性を保つ考えを示した。
また、貨物事業への取り組みについて同氏は、「主力は旅客事業だが、A330の日本導入により一部路線では貨物輸送機会が拡大する可能性もある」と述べた。また、台風被害に対しては「年間20回以上の台風に備えたレジリエンス体制を整えている」とし、運航継続への影響を最小限に抑える方針を示した。
同社は今後も「フィリピンを中心に飛行時間5時間圏内の市場」を重点エリアと位置づけ、日本、韓国、中国、東南アジア諸国を中心にネットワークを拡充していく考えを示している。


