ホスピタリティ企業の約半数「AI検索ツールが業界の構造変える」、Adyenが最新レポート公表

決済プラットフォームを提供するAdyenは、旅行・ホスピタリティ業界における消費者動向とテクノロジーの影響を分析した「ホスピタリティ&トラベルレポート2025」を発表した。AIの活用拡大と不正対策の必要性が、今後の業界成長の鍵を握ると指摘している。
Adyenが世界27の国・地域の消費者4万人とホスピタリティ企業8102社(その内、日本からは消費者2000人、企業300社)を対象に実施した調査によると、旅行予約時にAI検索ツールを利用する動きが加速しており、とくにホテルや航空会社は、利益の最大化と顧客ロイヤルティの強化を目的に、OTAとの連携と並行して「直接予約」を重視する傾向が高まっている。日本においても、前年に比べ旅行の予約検索時にAIを活用する割合が増加しており、今年は11%に達した。ただし、グローバル平均の34%と比較すると依然として低水準にとどまっている。
日本の消費者のAI活用の主な用途には、旅行中のトラブル対応や情報ノイズの軽減、個別最適化された旅程の提案などがあり、効率性と利便性への期待がうかがえる。日本のホスピタリティ企業の46%が、AI検索ツールが旅行業界の構造を変えると見込んでおり、35%はすでにAIを活用したサービスを導入しているという。
一方で、業界が抱える課題も浮き彫りとなった。不正利用やチャージバック、予約キャンセルに関連する被害が日本企業の76%、グローバルで73%にのぼり、多くの企業がオンラインと現地決済システムの未統合に起因するセキュリティリスクを指摘している。こうした対応を施設単位で個別に行うことで、コストや業務の複雑さも増している。
セキュリティ強化に向けた取り組みでは、日本企業の72%がすでにトークン化を導入済み。また、日本の54%が生体認証による決済が2025年の業界を変える技術として期待を寄せており、これはグローバル平均を上回る結果だった。