JATAと韓国観光公社、25年は地方送客を強化 韓国旅行で絶景30選・1000人規模イベントも

日本旅行業協会(JATA)と韓国観光公社は、2025年度の訪韓旅行促進に向けた共同施策を発表した。日韓国交正常化60周年を迎える本年は、例年の施策に加え、地方誘客や体験型コンテンツの拡充を強化し、ソウル一極集中の解消を目指す。記念イベント「咸安(ハマン)の落火ノリ」は、10月16日に日本人限定で開催し、昨年の600名を超える1000名の送客を目指す。
JATAアウトバウンド促進協議会・東アジア部会韓国ワーキンググループの本多寿彦座長(日本旅行)は、「訪韓市場は好調に推移しているが、旅行会社を通さない個人旅行の増加や、ソウル偏重の傾向が続いている。地方への誘客と旅行会社の役割強化が急務」と指摘。旅行会社の企画力を活かすことで、地域性や体験価値の高い商品を造成し地方誘客の裾野を広げていく考えだ。
具体策として、今年新たに「韓国絶景30選」を選定。既存の「絶品グルメ30選」と組み合わせた商品造成を進め、旅行会社による商品コンテストを実施する。優秀商品には韓国観光公社賞などが授与され、現在14社16部署が参加。すでに商品化が進行しているという。
また、営業担当者を対象にした団体送客コンテスト「韓国営業王」も継続開催。送客実績に応じた表彰や韓国への招待を通じ、営業現場の士気向上と団体需要の喚起を図る。
韓国観光公社日本地域センター長の金観美氏は、今年1月~6月の訪韓日本人数は2019年同期比で98%まで回復したとして好調を維持していると説明。その上で今後は、地方誘客の強化とファミリー層や団体旅行など新たなターゲット層へのアプローチが鍵とした。「落火ノリ」では、参加者の利便性や安全性を強化し、無料体験や軽食の提供も行うことで付加価値を高める。さらに、11月には平昌で日本人向けのキムチづくりイベントも予定されている。
会見では、旅行会社による商品の「深掘り」や「高付加価値化」にも注目が集まった。本多氏は「短期間で多くを詰め込む従来型から、じっくり滞在して体験を重視する商品設計も今後は重要」とし、ファミリー層を含めた新しい需要の取り込みに期待を寄せた。