旅行会社との「取引条件の適正化」一部改善 日本人旅行者のプライオリティ向上のためにも急務、OTOA大畑会長

 日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)はこのほど、第32回通常総会を開催。大畑貴彦会長ら幹部役員が出席し、22年の事業報告および23年の事業計画などについて取り決めを行った。その中で大畑氏はこれまで本誌などでも再三にわたり訴えてきた旅行会社との「取引条件の適正化」について触れた。

大畑貴彦会長

 「取引条件の適正化」は、後払いや立替払いが主流となる日本の商習慣をデポジットなどのグローバルスタンダードに合わせるべきというもの。日本の旅行会社と現地サプライヤーの間に立つツアーオペレーターにとって、後払いなどによる精算と支払いのタイムラグの負担が大きく、特にコロナによって大きなダメージを受けた現在ではこのタイムラグが死活問題となる可能性がある。

 大畑氏は総会での挨拶で「海外の受け入れ現場の状況は、ホテルを筆頭にほぼ全ての部分で値上げや支払いの厳格化が進んでいる。地域やホテルブランドにより多少の違いはあるものの、今後もこの傾向は継続されていくと思われる。仮にこの傾向が継続した場合、仕入れの競争は激化し、それらを受け入れられない地域からの観光客等は排除されていくだろう。各国がパンデミック以前の賑わいを見せる中、日本人のプライオリティを上げるため、旅行会社との取引条件の適正化は今後さらに前進させなければならない。」と語った。

 この取引条件の適正化に向けた活動としてOTOAは、昨年8月に会員へのアンケートによる取引の実情把握を行うとともに、JATAへの面会およびアンケート結果の報告、要望書提出などによる適正化に向けた働きかけを行ってきたことを22年事業報告内で説明した。また、今年1月からは会員各社が取引先に対し、デポジット等の前払い対応や支払いタームの短縮について交渉を開始しており、改善の進捗について大畑氏は「改善具合を確認する2回目のアンケートがまだ実施中のため、正確な結果はまだ出ておりませんが、現時点でかなり改善されており、多くの旅行会社でデポジットや支払いタームの短縮などをいただけています。」と述べた。会員各社へのアンケートは今月末目途にまとめる予定だと言うが、大手旅行会社ほど適正化に向けた対応は鈍い傾向にあるとのこと。協会としては今後もアンケートによる実情把握およびJATAへの働きかけなどを継続していく予定だ。

インバウンド会員の獲得を積極化

 総会で報告された正会員数と賛助会員の状況によれば、22年度期中の正会員新規入会2社、退会4社で今年3月末時点の正会員数は106社。賛助会員新規入会は1社、退会7社で今年3月末時点の賛助会員数は29社となった。

 正会員数は過去最高で約150社ほど。コロナ前から緩やかに会員数が減少していることもあり、今後はインバウンド賛助会員の獲得を図りたい考え。アウトバウンドのイメージが強いOTOAだが、5年前から訪日ランドオペレーターを賛助会員として登録できる仕組みを作っており、現在は3社が登録されている。新規会員獲得に向けて23年度の事業計画ではインバウンド事業も盛り込んでおり、「旅行サービス手配業務取扱管理者研修」や「OTOAホームページ上へのインバウンド関連ページの設置および積極的な広報活動」を実施する予定だ。