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新潟・高柳じょんのび村、HIS出身の社長が立て直しに挑戦、赤字経営から半年で脱却

  • 2022年12月16日

2015年以来の黒字化を達成
人とのつながりから得た大きなサポート

-これまでの業績を教えてください。

吉村 昨年の10月から12月は予算通りでしたが、今年の1月から3月はまん延防止等重点措置の要請で集客につながらず赤字でした。4月以降はゴールデンウィークや夏のイベントの実施、紙台帳での管理からホテル管理システムを導入、直販化もすすめ、食事メニューも開発しました。その結果、4月から9月は前期比180%増の収益となり、2015年以来の黒字化を達成しました。収益の柱は日帰り入館、宿泊、飲食、売店、イベントの5つですが鍵は宿泊で、売上シェアが前年28%から32%に上昇し、客室稼働率も63%と一般の平均より上振れ。客室平均単価(ADR)は約3万5000円で、1室あたりの収益(RevPAR)は約2万1000円と想定した水準に近づきました。

 他社に合わせるのでなく、ここならではの価値を高めることで料金を上げて待遇も良くしたいと考えており、自分で見い出した価値に近づいていると思います。今下期を何とかすれば22年度中の黒字を達成する見込みですが、コロナでどうなるかわからず、夏の新潟県民割と柏崎市の宿泊割、今の全国旅行支援で宿泊は伸びているので、これらの状況にもよります。

-どのような層をターゲットにしているのでしょうか。
じょんのび温泉「楽寿の湯」はサウナもあり食事・休憩もできる日帰り温泉施設

吉村 高柳出身者や柏崎市からの利用者が多かったので、今はじょんのび村を知らない人をターゲットにしています。東京から越後湯沢まで1時間20分、そこからほくほく線で十日町駅まで40分、さらに車で30分。東京から3時間以内で着き、駅からの送迎もあります。若年層から40代の方に高柳の良さを知って欲しいです。東京から日本海までは車で高柳を通ると最短距離なので、日本海に近い温泉宿と周辺観光を目的とする方もターゲットになります。

-東京圏内での認知を上げるためにどんな活動をされていますか。

吉村 日本・世界には素晴らしいコンテンツがたくさんあって、高柳が一番なものはないのです(笑)。つまり他と比べるものではなく、その土地にあったものをしっかりPRしていくのが肝心と思います。じゃらんの口コミ高評価の本に100点満点の温泉として掲載されたこともありましたが、高柳の眠ってる魅力の原石を磨き、どのようにアピールして、見せていくのかが一番。それには人に注目してもらうこと。私自身単身でこの地に来て、経営再建しなければ潰れてしまう第3セクターで何かやってると注目してもらうことで、ここの良さを知っていただきたい。

クリスマスつり橋イルミネーション。今年は12月25日までイルミネーションが楽しめる

 ほかにも、多くのイベントを実施しました。クリスマスつり橋イルミネーションが注目されたので、今年も継続し、12月3日にNGT48を呼んで点灯式をおこないました。田植えや稲刈りを組み込んだオプショナルツアーも造成し、旅行会社を通じてPRしています。またSNSの発信で今まで来なかった長岡市、新潟市などからも予約が入りました。来年は本格的に東京に売り込む予定で、12月にはコロナ禍の疲れを癒す現代版湯治プランを発表します。

-クラウドファンディングもおこないました。

吉村 私がここに来た時、吊り橋と囲炉裏ダイニングの銀兵衛がすごいと思いました。ですので、つり橋イルミネーションをおこない、囲炉裏も復活させたかった。囲炉裏は眠っていた施設で、空調設備が壊れ、トイレも和式でした。設備投資が叶わないものの、いい施設があることを知ってもらうためクラウドファンディングをおこないました。目標額を達成し、支援も集まりましたが出費も多く、コストを抑えながら段階を踏んでやっています。12月には空調を入れたいのですが、8月に申請した補助金が今検討段階で、工事が遅れています。