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ハワイから各島の観光局代表が一挙来日、セミナー開催-再生型観光に引き続き注力

  • 2022年11月21日

セミナー開催で旅行会社に協力呼びかけ、航空座席増も

  HTJのミツエ・ヴァーレイ氏

 午後におこなわれた業界関係者を集めたハワイセミナーではHTJ日本支局長のミツエ・ヴァーレイ氏より最新情報や2023年の活動方針を説明。「3年ぶりの対面のセミナーで心高まる思い。この3年多くのチャレンジがあったが、一番学んだのはパートナーや旅行業界の皆様がハワイを忘れず、航空便の運航を継続しパッケージ商品を造成し続けていただいた」と感謝の念を述べた。

 同氏によればハワイへの2022年9月までの渡航者数は2019年比で約90%まで回復。米国本土のみでは19年比で13.54%増とパンデミック前の数値を越えており、現地での消費額も8%増となっている。一方、日本は19年比で約10%にとどまっているが、航空座席は増加傾向で、1月の約1.6万席から8月には約3.1満席に増加。さらに年末は約8万席となる予定で、さらなる送客増に期待がかかる。

 今後の観光戦略についてはすでに発表した「自然保全」「文化継承」「コミュニティリレーション」「ブランドマーケティング」の4本柱と島ごとのDMAPを25年まで継続。また再生型観光の啓蒙にも注力していく方針。ヴァーレイ氏は「サステナブルツーリズムの一歩先を行く、無くなったものを復元しながら4世代、5世代先に向けて資源を残していく、それには観光業という一番大きな産業が重要になってくる」という考えを述べるとともに「ハワイは先進的なデスティネーションとして日本と一緒にリードしていきたい」と意欲を示した。

ハワイ観光戦略の概要

 このような観光戦略により、KPIもこれまでの訪問者数や滞在日数、航空座席数から、「ハワイコミュニティの観光産業への理解と満足度の向上」「ハワイ訪問者のハワイに対する満足度」「ハワイ訪問者の消費高」へ変更した。ヴァーレイ氏は「住民が観光を理解し、そして旅行者が参画できるようなプログラムを作っていかないとデスティネーションとして持続できない。もちろん経済とのバランスも大切」と語った。

 さらに、19年に世界から1000万人以上の観光客が訪れたことでオーバーツーリズムが問題となり、ツーリズムマーケティングからツーリズムマネージメントへ、プロモーションからエデュケーションへと考え方を変えて活動していることも説明。例えば現在、ハナウマ湾やダイヤモンドヘッドなどでは事前オンライン予約制となっているが、「人が集中しホットスポットにならないよう、住民と旅行者が満足する体験となるようシステムを導入している」(ヴァーレイ氏)という。

 そのほか、同氏はホテルのサービスも変化していることを紹介。例えばアメニティが環境に配慮したものになったり、森林再生や海洋生物・サンゴを守るプログラムがあったり、宿泊するだけでなく環境保全に参画できるようになっているという。またカルチャーアドバイザーと呼ばれるハワイの文化を継承するスタッフが宿泊者にハワイ語やレイメイキング、ウクレレレッスンなど体験プログラムを提供している。

 ヴァーレイ氏は「円安や燃油高などの問題もあるが、海外に行きたい、体感したいという思いを持ってもらうために"旅に行こうよ"というようなプロモーションをおこなっていきたい」と述べ、旅行会社や航空会社の販促に合わせてプランを練っていきたいと意欲を示した。最後に「私たちにできることは"つなぐ"ことだけ。(ハワイの)コミュニティと日本マーケットをつなげられるよう、密にコミュニケーションをとってリカバリーに向け尽力していきたい」と述べ、参加した旅行業界関係者へ協力を呼びかけた。