travelvision complimentary

ナビタイムジャパンが初のBtoBカンファレンス、旅行者データの活用方法を提案、無料ツールも

 ナビタイムジャパンは11月9日と10日の2日間、オンラインのBtoBイベント「NAVITIME Business Conference 2022」を開催した。自社の技術を活用した交通や流通、観光をはじめとした幅広い業界のロケーションテック活用事例を紹介するもので、同社がBtoB向けのカンファレンスを開催するのは今回が初めて。同社代表取締役社長の大西啓介氏は冒頭のセッションで、「経路探索エンジンの技術で世界の産業に奉仕する」という同社の経営理念を紹介。「ナビタイムはコンシューマー向けのイメージがあると思うが、法人向けに経路探索やデータ分析サービスを提供している。いろいろなセッションを聞いて、役立てていただきたい」と呼びかけた。

ナビタイムジャパン代表取締役社長の大西啓介氏

経路検索アプリ「NAVITIME」などの利用者層は?

 イベント内のセッションのうち、「ナビタイムのサービスを活用した移動者へのマーケティング」では、ナビタイムジャパンメディア事業部兼トラベル事業部事業部長の毛塚大輔氏が登壇。観光・交通・流通・インバウンドなどをテーマに、ナビタイムのサービスについて説明するとともに、同サービスを活用したターゲットへのアプローチ方法について事例を交えながら解説した。

ナビタイムジャパンの毛塚大輔氏が講演

 ナビタイムではナビゲーション技術「トータルナビ」を活用し、経路検索アプリ「NAVITIME」をはじめとしたサブスクリプションサービスを提供している。訪日客向けにはナビゲーションアプリ「Japan Travel by NAVITIME」を用意。検索結果に応じて交通や宿泊、アクティビティなどのチケット手配サービスも提供中だ。

 こうしたサービスの有料課金ユーザー数は約480万人、月間ユニークユーザー数は約5100万UU(2018年9月末時点)。このうち「NAVITIME」など主要サービスの利用者は、PCサイトは40台以上の男性、スマートフォンサイトは20代から40代の女性、アプリは30代から50代の男女が利用しているという。また、月間3億回の経路検索のうち、トータルナビ・乗換検索は約78%で、目的地に設定される場所は出発地から30km圏内が70%を占めている100km以上の旅行需要は10%程度だ。

 直近の傾向としては、トータルナビや公共交通検索数はコロナ前と同水準まで回復してきたところ。Google経由の流入が増えたほか、JRの「みどりの窓口」の閉鎖によるチケット購入需要の増加が背景にあるという。

ユーザーの「未来への行動」にアプローチ、細かなターゲティングが可能

 セッションでは毛塚氏が、ナビタイムのユーザー基盤・プラットフォームを活用し、BtoBでマーケティング支援事業を展開していることを説明。集客支援をおこなう「広告・メディア連携」事業、BtoCのノウハウやプラットフォームを活用した企業・自治体のサービス構築を支援する「パッケージ・OEM」事業を展開している旨を語った。

 メディア連携については、「移動導線上にチケットなどの必要な手配導線を配置し、移動シーンに沿った最適な情報提供を実施することで集客と予約を獲得している」と説明。航空・鉄道・バス・レンタカー会社やシェアサイクル、レストラン、駐車場、旅行会社、アクティビティ会社などと連携していることを語り、「お客様は会員登録しなくても購入できるので、コンバージョン、リピーター率が上がる。ナビタイムがハブとなる、スーパーアプリの発想」と話した。このほか、検索先の地域にある施設の関連情報を掲載する広告も用意しているという。

 また、毛塚氏はナビタイムとユーザーの接点を「キッカケ・検討/調査・移動計画・意思決定・現地行動・満足/リピート」に分けて説明。このうち「ナビタイムの強みとする接触タイミング」として、意思決定段階と現地行動を挙げた。

 意思決定段階については、例えば東京23区内の目的地を検索した人の場合、7割以上が実際に目的地周辺に移動していることを説明。「誘導させたい施設付近に行く、あるいはそこにいるユーザーの未来への行動のアプローチが可能」とアピールした。

ナビタイムのアプローチ方法について

 では具体的にナビタイムユーザーにどうアプローチするべきか。毛塚氏は「移動計画する人」「移動中の人」「移動履歴から」の3つのアプローチ方法をあげた。移動計画する人には、経路検索画面に広告を表示。移動中の人については配信エリアを指定した広告を掲載することや、実際の来訪計測も可能だ。また、移動履歴からは沿線利用者や特定の高速道路を通過する人、自転車保有者など、細かくターゲティングしたアプローチが可能という。

 同氏は具体例として、三井不動産商業マネジメントが手掛ける「霞が関ビルディング」の事例を紹介。商業施設としての認知度向上のため、周辺エリアのオフィスワーカーの取り込みを視野に、最寄り駅の訪問者をターゲットにした広告を継続的に掲載することで成果を上げているという。また、港区にある訪日外国人向けの商業施設の例では、周辺エリアを訪問し訪日客にプッシュ通知で情報を提供。来訪者の分析レポートも実施したところ、実施前と実施後では7倍のユーザーが訪問したという。

次ページ >>> 小規模事業者向けに無料サービス、OEMパッケージも