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【弁護士に聞く】"マスクなし"乗車拒否の行政処分、宿泊施設と旅行会社の今後の対応は

旅行会社は業務上の都合で対応可

 旅行は一種の嗜好品と考えられているので、旅行業法中にも旅行契約締結義務の定めはないし、観光庁長官と消費者庁長官が共同で定めた標準旅行業約款にも、「業務上の都合」があれば、旅行契約の締結を拒否できることとされている。

 旅行会社は、マスク着用拒否の旅行参加希望者がいれば、着用拒否の理由を伺い、健康上の正当な理由がない場合には、マスク着用の必要性を丁寧に説明して、それでも着用拒否される方は、旅行契約の申込に応じる必要はないことになる。旅行契約締結後にマスクを着用しないで参加しようとする旅行者については、契約違反を理由に契約解除しても良いことになる。例えば、旅行開始後、移動のバス内などで着用を拒否する旅行者がいた場合にも、その場で指示に従わなければ契約を解除する旨警告しても従わないときは、契約を解除して帰りの都合の良い場所で降車させることができる。


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三浦雅生 弁護士
75年司法試験合格。76年明治大学法学部卒業。78年東京弁護士会に弁護士登録。91年に社団法人日本旅行業協会(JATA)「90年代の旅行業法制を考える会」、92年に運輸省「旅行業務適正化対策研究会」、93年に運輸省「旅行業問題研究会」、02年に国土交通省「旅行業法等検討懇談会」の各委員を歴任。15年2月観光庁「OTAガイドライン策定検討委員会」委員、同年11月国土交通省・厚生労働省「「民泊サービス」のあり方に関する検討会」委員、16年1月国土交通省「軽井沢バス事故対策検討委員会」委員、同年10月観光庁「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」委員、17年6月新宿区民泊問題対策検討会議副議長、世田谷区民泊検討委員会委員長に各就任。