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レベニューマネージャーの仕事を一気通貫でサポート-メトロエンジン田中良介氏

他業界からも評価されるダイナミックプライシング
長期滞在の取り込みを叶える予約プラットフォームも展開

-価格設定の仕組みについて教えてください。

田中 レベニューマネジメントの機能は大きく2つに分けられます。1つが「全自動モード」と呼んでいるAIを使ったレベニューマネジメントで、我々が推奨する価格を受け入れるか否かは施設側が決める機能です。

 もう1つは施設側がルールを決め、それに基づいて価格を付けていくという「ルールベース」のツール。レベニューマネージャーは基本的に、競合価格、残在庫、リードタイムの3つの軸で価格をコントロールしています。このツールには、例えば「残り3日間で在庫がまだ4割残っている場合、競合価格より20%安くする」や、「まだ10日間あるが、稼働が90%まで行っている場合、競合価格より10%高くする」といったルールを簡単に決められる仕組みがあります。毎日自分で管理していくよりも、自動でルールに基づいて処理した方が効率化できるということで、最近ではルールベースの方が人気です。

-ルールベースの場合、自社のアルゴリズムに基づいた独自の価格設定ができるわけですね。

田中 はい。それぞれのレベニューマネージャーさんの考えをルールに反映していただけます。また、3つの軸以外の指標を取り入れることもできます。例えば、データが入手できれば、航空座席の供給量や予約状況を組み込むことも仕組みとしては可能です。

-全自動モードの価格はどのように決まるのですか。

田中 競合価格、残在庫、リードタイムの3つの軸に加えて、例えばイベント情報なども収集して反映しています。また、ルールベースのツールには含まれていませんが、AIでは競合の稼働状況も見ている。様々な要素が合わさり、意外な価格が出ることがAIでは起こりえます。

-「マンスリーホテル」という長期滞在向けのサービスも運営されています。

田中 マンスリーホテルは7泊以上の宿泊プランに特化した予約プラットフォームで、コロナ前の2019年に企画を立ち上げました。当時は政治的な理由もあって韓国からの観光客が前年対比で減ってきている状況にあり、長期滞在を埋めたいという需要があると様々なホテルから聞いたことがきっかけです。現在利用しているホテルは650軒から700軒ほど。6月には予約金額も前月比1.5倍まで伸びてきています。

 当社では、全ホテルの予約の6%が7泊以上の宿泊だと試算しています。また、コロナ前の水準でも、長期滞在は3000億円という市場規模がありました。流通額として非常に大きく、ホテルからも喜ばれるため、伸ばしていきたい分野として位置付けています。

 
-今後ラインナップには、ホテル・旅館だけでなく民泊なども加えていく予定ですか。

田中 現状では明確に決まっていませんが、まだ規模としては小さいため、民泊よりも先にホテルの掲載数を増やしていくことを考えています。

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