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【GDS座談会・前編】来年の見通しは?ポストコロナへ注力分野は?

業務渡航の完全回復は期待せず
DX推進や基幹システムなど取組強化へ

ポストコロナに向けて、現在はどのような分野に力を入れておられるでしょうか




岡安 旅行会社の基幹システムの改善をご提案したい。NDCやLCCのように、旅行会社が手配すべき素材は多元化、マルチソース化が進んでいる。旅行会社の基幹システムは、マルチソース連携は対応できていない。GDSとの連携はできているものの、手入力する作業が多く残るなど、つぎはぎ的な状況にとどまっている。

 コロナでオンライン化や、セルフサービス化、リモートワークが進展してきたが、旅行のプロがサポートするべき場面も多い。旅行会社のスタッフがどこからでもお客様の情報にアクセスできて、誰にでも見られるようにできればより的確なサービスを提供できる。

 コンテンツも、本当はすべてをGDSの画面に取り込めれば良いが日本ではJRやLCCもあるため、そういったサプライヤーのアプリを基幹システムに組み込むような形で統合していくことで色々なことが実現できる。顧客データがクラウド上にあって、会社からでも自宅からでもアクセスでき、請求書発行から入金管理、データ分析まで処理するような仕組みを提供可能だ。

 旅行業の古い仕組みをうまくシステムに乗せること、これは私にとって個人的な悲願でもある。コロナからの回復期には競争も発生するが、回復のペース以上に成功するためには今の準備が重要だ。「攻めの営業ができる基幹システム」として、すでに一部の会社には提案している。



竹村 もともと「アマデウスはもはやGDSではない」と言ってきた。旅行の分野で色々なITのソリューションを提供していくのがビジョン。そして例えばコロナで非接触のサービスが求められていることは、航空会社や空港、ホテルにシステムをご提供している当社にとっては大きなビジネスチャンスだ。

 日本でも空港向けシステムを受注していて、これから人員を配置していくところ。時代のニーズがテクノロジーの進化を求めている。



植村 これまでGDSブッキングフィーの一本足打法だったが、昨年日本地区販売代理店契約を締結したセーバーの販売はもっと力を入れたい。セーバーは世界的には主要GDSだが、日本市場では後発で、まだあまり使われていない。

 また、旅行流通をサポートするプラットフォーマーとして、日本の旅行会社のバックオフィスサポートやRPA導入などの生産性向上や、働き方改革のご支援、オンライン化加速に伴うDX推進のお手伝いといった分野でもANAグループのIT会社やパートナー企業と連携してお客様のビジネスを更にご支援していきたい。

 ウィズコロナの世界ではコミュニケーションの取り方も変わるので、情報発信を強化したい。インフィニフォレストというサイトを運営しているが、現在は実際にインフィニを操作される方しか使っていただけていないので、より多くの旅行関係者の皆様に必要とされるサイトにしていく。



(後編へ続く)