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「観光客は必ず戻る」差別化されたコンテンツをアフターコロナの原動力に―愛知県観光コンベンション局 武田光弘局長

  • 2022年4月4日

ジブリパーク開園と大河ドラマ決定の追い風を受けて

-産業観光に力を入れていますが、その魅力と特徴は。

武田 「産業観光」とは、歴史的、文化的価値のある産業文化財、生産現場及び産業製品を観光資源として、それらを通じてものづくりの心に触れるとともに人的交流を促進する観光活動です。愛知県はものづくりで有名で、見学可能な生産現場も少なくありません。自動車産業では車がテーマの博物館もあります。自動車以外も味噌や食酢を作る醸造系の企業も多く、トヨタのような大企業から地場の中小企業までさまざまな生産現場を持つのが強みです。教育旅行素材としても産業観光は期待できます。

-武将観光にも力を入れていますね。来年の大河ドラマが「どうする家康」に決まりました。今後の取り組みについてご説明願います。

武田 愛知県は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑を始め多くの戦国武将を輩出しており、「武将のふるさと愛知」を発信し武将観光を推進しています。全国の武将隊や忍者隊が集結する「サムライ・ニンジャ・フェスティバル」の開催や、「徳川家康と服部半蔵忍者隊」による県内外のイベントでのプロモーションを実施しています。

 新年度はこれらの取り組みに加え、「どうする家康」の放送に合わせて効果的なプロモーションを展開していく方針です。県の主要な玄関口であるJR名古屋駅にインフォメーションセンターを設置し、武将観光の情報発信拠点として誘客に活用します。また「徳川家康ゆかりの地」をテーマにシンポジウムや著名人のトークショーを開催し、武将観光の魅力を紹介し新たな顧客を開拓していきます。

-コロナ禍中の取り組み、あるいはアフターコロナへ向けた取り組みについて、どのような方針をお持ちですか。

武田 これまでと変わりませんが、観光商品作りを重視しており、そのための観光プラットフォームを構築しました。県内市町村に商品化の候補となる観光素材を挙げてもらい、旅行会社の商品に組み込まれるようにするために何が必要かを検討する作業を継続。我々のコンサルテーションを通じ、商品化のノウハウを各地域に提供しています。加えて各素材情報を全国の旅行会社に紹介する場として商談会も開催します。愛知県は出張目的地であって旅行商品も出張パッケージが中心。まずは愛知県には面白い観光素材が豊富にあることを旅行会社に認知してもらうことを重視しています。

-コロナ禍を経て観光コンベンション局の活動内容に変化は?

武田 海外各国の観光局勤務の時代から旅行需要が激減するピンチは沢山ありました。その経験を通じて確信したのは、人の本質として知らない場所へ行きたい、知らない人とコミュニケーションをとりたいという欲求は変わらないこと。コロナ禍後も旅行の需要は戻ってくると信じています。そこで必要になるのは、以前にも増して楽しんでもらえる商品を磨き上げること、しっかりとその対価を払ってもらえるだけの商品作りが重要だということです。現在はインバウンドが止まっていますが、この期間に何を提供すれば旅行者の満足につながり、対価を払おうと思ってもらえるかをもう一度見つめ直し、商品を磨き上げなければなりません。

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